日本を代表する、コーヒーの自家焙煎の老舗「カフェ・バッハ」の店主を務める田口文子さん。多くのファンを魅了してやまない、カフェ・バッハのこだわりのスイーツやパンの生みの親でもあります。前回の記事に引き続き、今回は、お店のスタッフのお母さん的存在でもある田口さんから、栄養たっぷりで手軽に食べられる「カレー風味のお好みクレープ巻き」のレシピ紹介をはじめ、わが子のように愛するお店のスタッフやお客様への思いを語っていもらいました。

ササっと食べられて栄養も取れる。塾や習い事の前にもぴったり

日経DUAL編集部 今回教えていただける、カレー風味のお好みクレープ巻きは、中に野菜がギュッと詰まって栄養的にもバランスの取れたおやつですね。

カフェ・バッハの店主であり、お菓子作りの達人でもある田口文子さん
カフェ・バッハの店主であり、お菓子作りの達人でもある田口文子さん

田口文子さん(以下、敬称略) 育ち盛りのお子さんが学校からおなかをすかせて帰ってきたときに、栄養も取れて、おやつになるものといったら、やっぱりいろんな具が詰まったクレープかなと思いまして。中に果物や生クリーム、チョコなど甘いものを入れたクレープもおいしいですが、今回はクレープの中身をお野菜にして、生地を子どもが大好きなカレー風味に仕上げてみました。ハムや焼き豚を入れると、その塩気とうま味でさらに食べやすくなるんですよ。

―― おいしそうです! カレー風味だと子どもも食が進みそうですね。

田口 そうなんです。生地にお砂糖を入れて、ちょっと甘めにしているので、“おやつ感”も出るかと。朝、出かけるときにお子さんに「ラップに包んで冷蔵庫に置いてあるから食べてね!」と伝えておけば、お留守番のできる年齢のお子さんなら自分で食べてくれると思います。それから塾や習い事に行く前のちょうどおなかのすく時間帯に、ササっと食べるのにも向いています。勉強するのにもパワーが必要ですものね! 

―― そうなんですよ。塾や習い事に行く前って、ちょうど小腹がすく時間帯ですものね。でも、時間的にあまりがっつりも食べられない。こうして手軽に栄養の取れるおやつはとても助かります。

田口 それはよかった。中の野菜はサンチュやきゅうりを使いますが、サンチュは葉物特有の青臭さがないのでお子さんも食べやすいと思います。大葉もさっぱりしてカレー風味によく合うんですよ。クレープの生地は、市販のホットケーキミックス粉などでもできるんですが、普通の薄力粉を使うと、“自分好みの味”に調節できるのでよいかと思います。わが家の手作りの味のほうが、家族のみんなもうれしいでしょうしね。生地は1時間以上冷蔵庫で休ませると、全体が均一に混ざってより落ち着いてくるので、前日の晩に生地だけでも作っておくといいでしょう。

―― それなら夕食の片付けと同時に作っておくと楽ですね! 

田口 ホントそうです。なるべく、何かの“ついで”に仕込んでおくと楽ですからね。では、実際の作り方をお伝えしましょう!

食欲がそそられる、カレー風味のクレープ巻き。中にお好みの具材をあれこれ入れて、自分好みにアレンジできる
食欲がそそられる、カレー風味のクレープ巻き。中にお好みの具材をあれこれ入れて、自分好みにアレンジできる