グローバル化する社会で必要なアウトプット力を養う
このプログラムの目的は、子どもたちに「発信する楽しさ」を知ってもらい、「発信する力」を伸ばすとともに、「誰かに貢献する楽しさ」を味わってもらうことだという。主催した会社、ユニイクの永井貴博さんは、始めたきっかけをこう語る。
「楽天の社員だったときにどんどんグローバルな環境にシフトしていくなかで、伸びていく人とそうでない人がいた。その差は何だろうと考えてみると、表現力や発言力、アピール力の差だと思ったんです。さらに、コンサルティングの仕事をしていても、いいモノを持っているのにその価値をうまく伝えられない企業や自治体の大人たちがとても多い。それを支援するのが私の仕事なのですが、グローバル化していくなかで、仕事上、アウトプットしていく力が必要になってくる。だったら、大卒以上の大人だけではなく、それ以前の子どものうちからアウトプットする力を養う教育プログラムを作れないかと、模索しながら始めました」
このプログラムは、コンサルタントとしての永井さんの経験と、自身がオランダ留学で学んだ子どもの「自律・共生」を重んじるイエナプラン教育の影響もあるのだという。早速、どんなプログラムなのか、取材してみた。
“自分ごと化”することで興味が湧く
1日目の朝、荏原町商店街会館に集合したのは1~4年生までの小学生5人。まずは、参加者全員に課された宿題があった。それは、地元の商店街のことを調べてくること。それを各自、紹介していくのだが、これには理由がある。
「いきなり知らない地域の商店街を取材しなさいと言われてもイメージが湧きません。いかに“やらされている感”を無くすことができるかが勝負です。そのためには、“自分ごと化”するために自己関連度を高めなければなりません。まずは、自分の地元商店街を調べることによって、知らない商店街と比較できるようになるので、自己関連度が高まる。そして、知らない商店街にも興味を持てるようになります。最初のこの部分さえうまくいけば、極端な話、あとは大人が見守るだけで子どもたちは自分の力で進めていくようになります」(永井さん)
自己関連度が高まった子どもたちは、動画制作のプロであるスタッフたちと一緒にiPadでまずは写真を撮影して回りながらロケハンを開始。撮影した写真をインスタグラムにアップしたりしながら、「コレ、いいねぇ。インスタ映えしてんじゃない!?」などと“今どき”なことを言いながら楽しそうにしている。