ひたすら編集作業。PR動画を完成させる

 翌朝9時ごろに再び荏原町商店街会館に集合すると、編集作業の開始だ。まずは、動画編集ソフトの使い方を教えてもらい、用意されたノートパソコンにそれぞれの動画データをiPadから移していく。その後、ひとつひとつの動画の内容を確認しながら、動画データの名前を付箋に書いていく。これがまた地道な作業である。集中力が続くのか心配していたが、いい作品を作りたいという意欲満々で、黙々と作業をこなしていった。

素材を整理するために、付箋に動画データの名前を付けていく
素材を整理するために、付箋に動画データの名前を付けていく

 そこまで終えると、最後の編集作業に入る。書いた企画書を基に取材を終えたところで、どんな動画にしたいのかを考えて決める。そのための作業は「目的を明確にする」「素材を絞る」「全体の長さを決める」の3つだ。

 何のために何をどう伝えたいのか。自分の考えがまとまったところで、使う動画を絞っていく。さらに、いらない部分をカットして、つなげていく。動画の長さはだいたい3分程度が目標。すべての動画をつないでみて、長いようであれば、さらに素材を絞っていった。

子どもは信頼するとできるようになる

 編集作業はそれで終わりではない。テロップを入れたり、音楽を入れたり、動画の切り替わりに見栄えを良くするトランジションを用いたり……。その都度、スタッフから一度教えてもらうとすぐに覚えて、自分でサクサクと作業を進めていったのは驚きだった。

黙々と編集作業をする子どもたち
黙々と編集作業をする子どもたち

 そのことを永井さんに伝えると、こう言った。

 「イエナプラン教育では、自律を重んじていて、子どもたちが自分たちで時間割を決める。先生との約束事としてそのなかで学習を進めていくんですね。それと同じで、このプログラムも『全部、自分で決めてね』という形にしています。基本的な枠組みは決めておいてあげるのですが、進め方とか、どこに取材に行くのか、何を撮りたいのか、最終的に何をどう伝えたいのかといったことは、すべて子どもたちが自分で決める。だから、大人の想像をはるかに超えるレベルで集中して作業を進められるんです

 さらに、「子どもたちって、何でも任せてみるとできるものなんです。大人が信頼しないからできなくなるだけであって、信頼すると意外とできるようになる。何でも自発的にワークできるよう、そこだけは一貫してブレないようにプログラムを作っています」と永井さんは言う。