大人は枠組みを与えるだけ。すべて自分で考える

小3男子の書いた企画書。6項目に関して、思い思いに書いていく
小3男子の書いた企画書。6項目に関して、思い思いに書いていく

 会館に戻った子どもたちには、ワークシートが手渡され、「なんのお店が多い?」などの項目について、地元商店街と荏原町商店街の違いについて、気づいたことを書き込んでいく。その後、動画撮影の方法を教えてもらいつつ、企画書を書いていった。

 企画書のワークシートに書き込む項目は、「誰のために撮る?」「仮で決める題名(テーマ)」「なぜそれを撮る?」「何を撮る?」「どうやって撮る?」「撮る順番は?(段取り)」の6項目。それをすべて書き込んでいく。

 狙い通り、自己関連度が高まっていたようだ。子どもたちはみな、荏原町商店街の人たちに喜んでもらうには、どういうPR動画を撮って世界に発信すればいいのかと考える。その姿は真剣そのものだ。

 永井さんをはじめスタッフはみな、企画書などは子どもの自主性に任せている。最初に何をやるのか、どうやるのかといった枠組みの説明をするだけで、あとは子どもたちが自分で考える。何か分からないことがあればサポートするだけだ。素晴らしいアイデアを出している子どもがいると、一緒に面白がって褒めてあげている姿が印象的だった。

商品券で買い物しながら取材する

 企画書ができたら、商品券をもらって商店街のお店でランチを食べながら、いよいよ取材開始。中華料理店に入って、スタッフに撮影してもらいつつお店の名物料理を食レポしたり、気になったお店で買い物をしつつ自分で撮影しながらリポートしたり、お店の人にインタビューしたり……。

 お店で好きなアイスクリームを買ったり、文房具店をリポートしながら文房具を買ったり、あるいはお母さんへのおみやげとして花屋で鉢植えのハーブを買ったり、気になった神社に行ってみたり。炎天下にもかかわらず、元気に取材と撮影を進めていった。

商品券で好きなものを購入しながら取材を進める
商品券で好きなものを購入しながら取材を進める

 16時くらいになると、取材を終えた子どもたちが続々とスタッフと共に会館へと戻ってきた。取材を終えた子どもたちから、PR動画の出だしになる部分の撮影。リポーターとして、動画の内容について前ふりをどう話すのか決めてから撮影するのだが、マイク片手に撮影すると、「なんだか芸能人みたいだ!」と大はしゃぎだった。

取材を終えて、動画のオープニングとなる素材を撮影する
取材を終えて、動画のオープニングとなる素材を撮影する

 最年少の小1の男の子は取材するうちに疲れてきたのか、一時はリタイヤするのではないかと心配したが、少し休憩して元気が出てきたようだ。スタッフのサポートを受けつつ、取材を終えた。参加した子どもたち5人とも、“やらされている感”はない。自分が撮りたいものを積極的に取材して、午後からの取材をやり切ったという感じで晴れやかな表情をしていた。全員がそろったところでその日は解散。翌日は動画の編集作業をしたら、作品の発表会が最後に待っている。