けんかする相手は常に上司で、一目置かれてきた

野田 私たちの世代って女性が組織のマネジメントに関わり始めた創成期なんだけどさ、全体としてはいわゆるPRやCSRといった「R職」を女性は充てられていた時代なんですよね。つまり、主幹の事業には深く入れなかった。情報が入らないというのは、そういう背景もあるかもしれないですよね。当時は、私たちの先輩である田中真紀子さんでさえ科学技術庁長官で、主要閣僚にはなれなかった。高市早苗さんや私のように政治の核に入れる女性が出てきたのは最近のこと。「民間より国会のほうが進んでまっせ」と、経団連に言っておこう(笑)。

―― さすがに主要閣僚になっていらっしゃる野田さんは、情報ハラスメントの被害を感じることはありませんよね?

野田 いや、あると思いますよ。知らないこといっぱいあるし。でも、仲間外れにされている感覚はないかな。私が怖いからかな(笑)?

―― 組織で女性が活躍していくためのコミュニケーションのコツをぜひ。

野田 一つ言えるのは、けんかする相手は常に上司だってこと。絶対に仲間の批判はしない。これは男女関係ないことだと思うけれど、怒りやすい相手は部下だと思うし、同僚の嫉妬も買ったり買われたり、ありますよね。でも私はそういうのは面倒臭いからしたくなくて、上司とばかり、つまり総理とばかりけんかしてきました。するとね、結果として周りから一目置かれるようになりますよ。簡単にはできないことだから。

―― なるほど。ちなみに、女性性をどこまで表現するか、あるいは隠すべきかということに悩んでいるという声も聞かれました。野田さんも独身時代はきっと色々と大変だったのではないかと。

野田 モテモテでしたよ、おじさまたちに。先輩議員に手を握られちゃったり、面倒臭かったですね。

―― それはどう乗り越えて?

野田 周りの女性議員も田中真紀子さんくらいしかいなかったので相談相手もいないし、あんまりクヨクヨ悩みませんでした。一番の解決策は年を取ることかな(笑)。

―― 今の野田さんは強さと優しさがミックスされたすてきな雰囲気を醸していらっしゃいますが、仕事で泣いちゃったりすることはありませんでしたか?

野田 それはなかった。私、仕事ではあまり泣かないほうだと思います。

―― おうちでは泣くんですか?

野田 ドラマとか見て泣いちゃいます。感動すると涙腺弱いですね。

―― 最後に、頑張る女性に向けてメッセージをお願いします。政府主導の「2030(2020年までに指導的地位にある女性の割合を少なくとも30%まで伸ばすという目標)」が揺らぐ中、不安を感じている読者も少なくありません。

野田 大きな流れの中で見たときに、やはり安倍総理が女性の活躍について明言したときに時代の潮目は確実に変わったと思います。私は長いこと国会議員をやっていて外面だけの政治家もいると知っていますが、国会の中の正式な発言として「女性の活躍が成長戦略の本丸だ」と言ったのは安倍総理が初めてでしたし、その後に、みんながわらわらと動き出した。

 女性活躍推進のための公表義務も出てきて、まだ企業の上層部にいる世代のおじさんたちは渋々動いているのが本音だと思うけれど、時代は確実に切り替わり始めたから、これからはきっと大丈夫。自分が将来一緒に肩を並べるのは、今上にいるおじさんたちではなくて、横にいる同年代なんだから、どんどん変わっていくはずです

―― 勇気をいただける言葉ですね。2030の達成に向けて、何か働きかけるご予定は?

野田 一つのアプローチとして、社外取締役から積極的に女性を登用する手法は一定の効果を生むと思うので、内閣府主導で人名録みたいなものを作れたらと思っています。企業と女性の幹部候補人材のマッチングを推進して、地方でも女性活躍の波を起こしていきたいと思っています。

―― ありがとうございました。

(文/宮本恵理子 撮影/鈴木愛子)