国のベビーシッター助成制度の導入を会社に提案

 子どもへの接し方もだいぶ変わります。母親はいつも一緒にいるから怒ってしまうことが多いですが、誰か愛情で埋めてくれる人が別にいることが子どもにとっては大きい。それが昔は一緒に住んでいるおじいちゃんおばあちゃんだったりしたわけですが、別に血縁じゃなくてもいいと私は思っています。

 私がお世話になっているシッターさんは3人のお子さんを育てた方。先輩としてすごく尊敬しているし、子育てのアドバイスも色々いただけて助かっています。子どもたちもすごくなついていて、夫が不在のときでも彼女と私の父とがそろっていると「家族だね~」なんて言っています。

 1人で頑張り過ぎている人に、外の手を頼っていいんだよって教えてあげたい。そう思って、国のベビーシッター助成制度の導入を会社に提案し、導入してもらうことができました。

 自治体のベビーシッター助成は1歳までが対象で、その後は全額自費でもお願いし続けようと思っていたのですが、会社を通して国の助成が受けられることをシッターの方が教えてくれたんです。早速会社に相談したのですが、すぐには通りませんでした。

 というのも、私のプレゼンの仕方がよくなかった。「私が個人的にベビーシッターを使っていて、それに助成金が出るようにしたい」という話の持っていき方をしたので、「個人だけの利益ということでは上に通しづらい」と言うことだったのです。確かにその通りです。

 周りのいろんな人に相談したところ、「働きやすい職場づくりは会社としても目指しているところだから、そういう路線でかけ合ってみては」とアドバイスを受けました。会社全体の、働くママやこれからママになる人、もちろんパパたちにもいいことなんだとアピールすればいいと気づいて、改めてプレゼンし直しました。そうしたら今度はすぐに通してもらえました

 そのときに作った、「なぜこの助成制度が大事で、会社にとって意味のあることなのか」を説明する資料を自治体窓口にも持って行きました。私のように自分の会社に申請しようとする人に役立ててもらえればと思ったんです。忙しい中で説明資料を作って会社に談判しにいくのは負担だし、こういうことはみんなで助け合えたほうがいい。

 「自治体の助成が切れても、次のオプションがあることを他の人にも知らせたほうがいいと思いますよ」と言って、資料のファイルと私の連絡先を担当者に渡しました。それ以後、連絡があるわけではないんですけどね(笑)。

――「下」編へ続きます。

(文/谷口絵美 撮影/坂斎清)