「受験するなら、小学校から? それとも中学校?」「大学入試改革を控えて、どのタイミングで受験させるのがうちの子にとって一番いいの?」などなど、子どもにとってベストな進路について悩んでいる親は多いはず。様々な選択肢があるからこそ、進路選びは慎重に考えたいもの。うちの子どもに一番合っている進路を考えるときに浮かぶ、ありがちな疑問や不安の数々。噂に惑わされることなく正しい選択をするために、教育の専門家である花まる学習会代表・高濱正伸さん、安田教育研究所代表・安田理さんのお二人からアドバイスをもらった。

【今どきの受験&進学総覧 特集】
(1) 「将来は早慶以上」「留学は必ず」 進路への本音
(2) 小・中・高校受験の特徴 わが子に向いているのは?
(3) 公立は荒れる?私立は同質? ステレオタイプの真偽 ←今回はココ
(4) 受験&留学にかかるマネー新事情 奨学金は使える?
(5) 学歴神話・就活の真実 10年後の進路&稼ぎ力

3年ごとの受験は避けたほうがいい

 アンケートで寄せられた子どもの進路への不安は、様々な分野に及ぶ(※読者のコメント後のカッコ内は子どもの年齢)。「中学受験を考えているが、小学1年生の今から準備しておくべきことはあるのか」(2歳、小1)、「周りに左右されやすいタイプで公立中学では不安」(小3、中学生以上)、「自分自身が私立受験をしていないので、学校選びの仕方が分からない」(2歳、小3)。また、大半の親が教育費への不安を抱えている。加えて、“幼稚園や小学校から私立では金太郎飴のような子どもになる”、“公立中学はヤンキーが多く、学力が身につかないし、教師の質も悪い”というようなステレオタイプにも注意が必要だ。

 「大事なのは、目の前の受験のことだけを考えるのではなく、その子の人生を俯瞰して見てあげること。よりよい学校をと考える親の気持ちは分かりますが、学校で人生が決まると思い込むあまり、中学受験、高校受験、大学受験と3年ごとに受験を繰り返すようなケースもあります。それでは、子ども時代が受験勉強ばかりになってしまって、子どもの負担も大き過ぎる」(安田さん)。

 「どのタイミングで受験をするかは、親の価値観や環境で判断するしかない。ただし、ひとつ言えるのは“受験に成功して終わり”というものではないということ。その先を見据えて、子どもの何を伸ばしてあげたいかを考えることが、進路選択の基準となっていくと思います」(高濱さん)

 様々な判断をしていく中で、長いスパンで子どもの人生を考える視点を持つことこそ、子どもの進路選びの原点。それを踏まえたうえで、多くの人が抱える疑問や不安についてコメントしてもらった。

<次のページからの内容>
・ 理事長・校長、通っている人の話をまず聞く
・ 「最終的に自分が選んだ学校」と思えるか
・ 公立だから教師がダメ、私立は優秀というのは偏見
・ 私立中学は入った後が大事
・ どのタイミングでお金をかけるか