子どもに就いてもらいたい職業一位は、安定の大手企業会社員

 子どもに将来就いてもらいたい職業として一番人気なのは、「大手企業会社員」で35.8%。次いで「国際機関」が29.2%だった。続いて「教員・研究者」が25.7%、不動の人気「医師」が22.6%、「国家公務員」17.9%となった。時代を反映して「起業・経営者」16.7%、「クリエイター」15.2%などの人気も高い。

 「もちろん、基本は子どもが進みたい道を見つけ、進んでいくことが第一。そのための選択肢を増やしてあげたい」(小5)。その上で、「将来就いてくれたらいいなという職業は、自分が憧れてできなかったものを勝手に想像したりする」(同)というように、親(自分)のなりたかった職業を望む人も。一方で、「自分が親に進路を押し付けられそうになった経験があるので、夢の実現のために協力できるところは協力するが、親の希望や要求に沿わせたいとは思わない」(年長)とあくまでも子どもの自主性重視派もいる。

 大企業や公務員などの安定志向については、「大手企業は研修や人材育成の基盤がしっかりしているし、新卒で就職すれば転職も視野に入れて若いうちに様々な経験をさせてもらえる。自分がそうしてもらったことが大きい」(小1)など、親自身が社会経験でメリットとして実感しているのが理由だ。「夫が大学教員だから」(小5)など、親の職業と同じものを希望する人もいる。

 また、「子どもが職探しをするころには、現在存在する職業のいくつかはなくなっていることが予想される。将来がどんな状況であっても、それに対応し自ら主体的に食べていける力を身につけることが大事だから、起業して経営者になってほしい」(2歳)と、将来の職業地図の大幅な変化も見越した意見もあった。

 ちなみに、親が自分自身の学歴・進路に満足しているか、という質問には、「おおむね満足」「やや満足」という回答が7割を超えた。

大事なのは、子育ての最終目標を考えた進路選び

 このように子どもの進路については、様々な希望や不安を抱えている親が多いが、「最終的には勉強ができる、できないよりは、人間力を育てることが大事」というのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。

 「極端な話、最終学歴である大学は浪人してある程度のレベルを目指すことだってできます。それよりも大事なのは様々な経験をして“モテる”人間を育てること。異性にも同性にもモテるような人間的な魅力は、子ども時代からどれだけいろいろな経験をしてきたかで決まってくると思います」

 安田教育研究所代表の安田理さんも「子育ての最終目標は子どもが1人で生きていけるようにすること。そのためには、目先の20cm先のことだけ見る “スマホ的子育て”ではダメ。その時点、その時点で良いと思うことを選択していても、長い人生というスパンで子どもの進路を判断できなくなってしまいます」と語る。

 「子どもをどう育てたいか、親が人生観を日頃から子どもと話す機会を持って、どう生きるかという価値観を共有すること。そこから本人にとってより望ましい進路の選択が家庭の中で見えてくると思います」(安田さん)

 次回からは、幼稚園&小学校受験から大学受験、海外留学・進学まで、今どきの進路事情のメリット・デメリットについて教えてもらう。

 ■第2回 「小・中・高校受験の特徴 わが子に向いているのは?」 も公開中! それぞれの受験のメリット・デメリットを一覧に!

(文/工藤千秋)