今夏、パパライターが、小学2年生の娘と妻の家族3人でマレーシアの首都クアラルンプールにて5日間の短期親子留学を敢行しました。行く先をなぜ、クアラルンプールに決め、準備のため何をしたか。「上」編では、親子留学を考えた理由・狙いと共に、体験してみて分かったことなどをお伝えします。

(日経DUAL特選シリーズ/2017年10月収録記事を再掲載します。)

5日間の英語留学→1週間の家族旅行を計画

 昨年の5月ごろのこと。妻が唐突に私に言った。

 「今回の夏休みに語学留学と旅行で2週間、東南アジアに行こうと思っているんだけど、どうする?」

 なんでも、妻は今の会社で勤続20周年ということで2週間の休みがもらえるとのこと。妻の会社では、東南アジア方面での事業展開を強化していく方針になったらしく、アジアの市場をこの目で見つつ、短期親子留学をしたいとのことだった。

 結局、20周年を1年間違えていたため、親子での英語留学を含めた旅行は1年先送りになったものの、再び今年のGWに入る前に同じ提案が妻からあった。仕事の都合もあるので保留していたが、この先、妻が2週間もまとめて休みが取れるチャンスはそうない。ならば、一緒に行こうと6月に入ってから決意した。

 ちなみに、私たち夫婦の海外経験には大きな格差がある。私は妻と結婚するまで海外旅行経験は皆無。一方、妻は小学校5~6年生の2年近く、父親の仕事の関係でアフリカのザイール(現コンゴ民主共和国)で生活をしたことがある。フランス語を使うベルギー人学校に通い、夏のバカンス時には2カ月間まるまる家族でヨーロッパ周遊旅行。大学生時代には1年間、フランスの大学付属の語学学校に留学した経験も。海外旅行経験も豊富で、英語学習に関しては常に興味を持っている。

 一方、私はといえば、受験勉強レベルしか経験のない英語力で、特に英会話がダメ。月に3回程度、地元の住区センターで行われているカナダ人の先生の個人英語教室に通う小学校2年生の娘がどんどん発音が良くなっていくことに焦りを覚え、最近はネットで英語を学べる「Duolingo」をちょくちょくやる程度だ。それでもビジネス英語とまではいかなくても少しは英会話が上達するなら、という思いもあった。

 そういった事情のなかで決まったのが、約1週間、マレーシアのクアラルンプールに滞在し、英語留学5日間という親子での短期留学だ。娘はショッピングモール内に新しくできたインターナショナルのプライマリー(小学校)のサマースクールに5日間通い、娘を送った後に私たち夫婦は別の語学学校に通うことになった。

 残りの1週間は家族旅行。5日間、留学で頑張ったご褒美として、ジョホール・バルのレゴランドや、インドネシアのリゾート地・ビンタン島に行ったり、シンガポールで保育園時代の友達と再会して遊んだりして帰国というスケジュールとなった

小学校低学年のうちに海外を経験させたかった

 今回の記事をまとめるにあたり、改めて妻に短期親子留学をしようと思い立った理由を聞いてみた。

 「出産した当時、復職してから1年後にフルタイムに戻ると奨励金がもらえた。娘が中学生か高校生になったときの海外留学資金としてためていたけれど、勤続20周年で2週間近くの休みが取得できるうえに、奨励金ももらえる。2週間の長期休みは当分できないだろうということで、決めた」(妻)

 また、月に3回程度、近所の住区センターでカナダ人の先生による英会話レッスンを楽しんでいる娘にとって、今がちょうどいいタイミングだろうと思ったという。

 「英語を習わせているといっても、気軽に楽しんでいる程度だから、英語を話せるようになることを期待するのではない。英語や他の国に興味を持てるようになって、逆に日本の良さを知るとか、他の国の子どもたちに自分の気持ちを伝えるとか。そういった経験を小学校低学年のうちにさせておきたいというのがあった。2週間の留学も考えたけれど、親はいいが、娘には長過ぎる。1週間くらい留学を経験して、あとはご褒美としていろんな国を旅して回って海外を経験するのがいいのではないかと」(妻)

 妻は小学校高学年のとき、イタリアのベニスで父親に「1人でジェラートを買ってきなさい」と言われ、拙いフランス語で何とか買えたときのことを今でも強烈に覚えている。

 「思い切ってやってみて、1人で買えたというのは大きな自信になったし、語学や海外への興味が増したような気がする。ただでさえ、日本の市場は縮小していく一方なのに、日本の学生は内向きになっているのが課題といわれているので、娘にはそうならないように育ってほしい。子どもは小学校低学年までは万能感に包まれて生きているから、ちょっとしたキッカケさえあれば、自信を持つようになる。短期間でもいいから留学を経験することで、何か自信を持ってもらいたかった。」(妻)

 また、親も英語を一緒に勉強するという姿勢を見せることも大事だと考えていた

 「ママもパパも一緒に頑張っているんだから、自分も頑張ろうと思ってもらいたかった。親子で頑張ったご褒美旅行として、後半の1週間は、どこに行きたいのか娘と相談して決めた。実際、娘は直前になって不安になったらしく、『外国の学校に1人で通うのは嫌だ』と言い出したけれど、後半の『楽しい1週間があるから一緒に頑張ろうね!』という雰囲気に持っていけたのがよかったかも」(妻)

 もともと、我々親が尊敬するくらい社交的な娘なので、外国の学校でいろんな国の子どもたちと仲良くなることを楽しみにしていた。しかし、留学が近づいてきたところで、「英語あまりしゃべれないからイジめられたらどうしよう?」と言い出した。そこで妻が「英語分かんないんだから、イジめられても分からないよ!」と言うと、「そっか、そうだね!」と一転、前向きになった娘にたくましさを感じた。子どもの性格や英語力にもよるだろうが、やはりまったく違う環境で1週間過ごすのは不安になるもの。そのあたりのケアもしっかりしたほうがいいのかもしれない。