本丸である「働き方改革」につながる育休取得を
佐藤 日本の男性育休取得率は、2016年度は約3%でしたが、この分母には妻が専業主婦の男性も含まれています。そもそも、日本の女性は妊娠・出産で55%ぐらいが仕事を辞めていますからね。海外の育休取得率は両方働いているのが前提の数字なので、数字を単純に比べても実はあまり意味がない。正社員同士のカップルで見ると、日本でも男性育休取得率は15%ぐらいはいきます。もちろん国際的に比較するとそれでも低いですが。何が言いたいかというと、日本社会全体で見ると半分ぐらいは専業主婦の妻がいるという特殊な構造がある。
働き方改革を実現するには、妻が専業主婦の男性も育児に参加する必要があります。今必要性を感じていなくても、将来的に介護の問題も出てきます。ちょっと論点は違いますが、専業主婦のほうが「1人でちゃんとやらなきゃ」と育児ノイローゼになる率は高いとも言われています。また、夫が子育てに参加すれば、専業主婦の妻が働き始める選択肢が出てくるかもしれません。
今はまるで「男性が育休を取ること」が目的のようになっていますが、それでは目的を勘違いしています。男性が子育てに参加し、それによって働き方改革が進むことが大切。本丸は働き方改革なんです。
―― ありがとうございました。後編では「働き方改革」などについて伺います。
* 後編へ続きます
(取材・文/小林浩子、イメージ画像/iStock)