「仕事しかできない人」は生き残れない

―― なぜ仕事しかできない人はだめなのでしょうか。

佐藤 変化の時代を迎えているからです。変化に対応できるフレキシビリティー、好奇心、高い学習能力。この3つがこれからの企業が必要とする社員の能力です。今後、企業が変わっていくのは間違いない。ただ、どう変わるかは分からない。だから「これを勉強しろ」「これをやっとくとお得だよ」とも企業は言いにくいんですよね。どう変わるかは分からないけど、必ず変化は起きるので、新しいものにも嫌だと思わず取り組む好奇心と、高い学習能力が必要でしょ、と。この3つがある人は、仕事しかできない人じゃないですよね。

 まだここまで至っている企業はありませんが、経団連のセミナーなどでも私は話しています。生活改革という視点で、既に企業が取り組んでいる実例としては、社内報がありますね。男性社員が子育てしている様子をリポートするような社内報もありますが、一歩進んでるところは違うんですよ。「この社員は、仕事以外にこんなことをやっていますよ」、と伝えている。例えば、絵を描いて個展を開いている、毎夏に有休を取ってマングローブの植林を手伝っているなんていう人は実は意外といるけど、これまで社内で大きな声では言ってこなかった。黙っていたわけですよ。そういう人の活動を社内報で紹介する。社内報というメディアを使って「仕事ができる人」のイメージを変えてしまうということです。

仕事以外もサポートしてくれる。そのための働き方改革

佐藤 他にも、社会人向け大学院の説明会や、ボランティア募集の説明会などを社内で昼休みに開催する手があります。する、しないを選ぶのはあくまでも社員です。ですが「勉強やボランティアを会社は応援してくれるんだな」というメッセージを社員は理解する。企業はこうやって社員にメッセージを伝えるべきなんです。お金を出さなくても間接的に「これはよいことだ」と企業が言うことが、企業の目指す姿を社員に伝えることになる。「うちの会社は仕事以外のこともサポートしてくれる。そのための働き方改革なんだ」と社員が感じることが大切なのです。

 「働き方改革は生活改革とセットですべき」という話は、最近、企業の役員研修などで皆さんによく伝えています。働き方改革で遅れを取っている企業も、生活改革とセットで取り組むことで、一気に加速する事例がこれから出てくると思いますよ。そのほうが改革の本質を捉えているのですから。

―― ありがとうございました。

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(取材・文/小林浩子、イメージ画像/iStock)