残業がない職場にも働き方改革は必要
日経DUAL編集部(以下、――) 昨年から今年にかけての大きな話題としては、一連の“電通事件”がありました。その影響は感じていますか。
佐藤さん(以下、敬称略) 電通もそうですが、残業時間をどう減らすかという問題だけにとらわれてしまっている企業が多いですよね。「ビジネスモデルを変える」「仕事の仕方を変える」といった発想が出てこないまま、残業時間削減だけに集中しても無理があります。実は残業がない職場でも働き方改革は必要です。
―― え、残業がない職場でも働き方改革は必要なのですか?
佐藤 詳しくは追って説明しますが、残業がない職場だったとしても、「今仕事がそれほどない」というだけで、いずれ仕事が増えたら、残業が出てしまうような働き方をしていませんか、ということです。
前回記事「男性育休は『いつ取るか』『何をするか』が大事」で「カップルで子育てする」ということは、週に2日は夫も保育園のお迎えを分担することだ、とお話ししました。「週2日、定時に帰るなんて難しい」と思われるかもしれませんが、本当にできないのか考えてみてください。例えば、週2日、定時で帰る代わりに、他の日に残業を増やせばいいんです。
極端な話、女性から見れば、そのほうがまだましなんです。中途半端な時間に毎日帰ってくるぐらいなら、週2日でもお迎えに行ってもらって、晩ごはん作って夜の育児までしてもらえるほうがずっと助かるわけですよ。他の日は「もうどれだけ遅くなってもしようがない」と諦められる。でも、実際にこれを試すと、全体的に残業は減るんですよ。