これまでの連載では、時間のやりくりに追われるワーママ自身の健康のために睡眠がいかに大切かをお伝えしてきました。では、夫はどうでしょうか。世界の平均睡眠時間およそ7時間27分(女性は7時間29分)に対し、日本人男性の平均睡眠時間は6時間12分(女性は6時間5分)。男性もやっぱり世界で一番寝ていません。睡眠不足は働き盛りのDUAL世代の夫たちにどのような影響を及ぼすのでしょう。成田奈緒子さんの分析はいかに?

睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、過敏性腸症候群を引き起こす

 こんにちは。小児科医の成田奈緒子です。今回は睡眠不足が与える夫たちへの影響を中心にお話しします。

 睡眠不足が心身に与える影響は人によって様々ですが、日本の男性に特に多いのは、自律神経のバランスを崩し、おなかの具合が悪くなるケースです

 そのメカニズムはとてもシンプルです。自律神経には「戦いの神経」と呼ばれる交感神経と、「休息の神経」と呼ばれる副交感神経があります。人間の体は起きている時間が長いと、交感神経が優位になります。つまり、心身とも戦闘モードに入ったままの緊張状態が続いていると、その緊張が腸にも伝わり、便秘や下痢などおなかの症状を引き起こすというわけです

 典型的な例としては、朝の満員電車の中で突然おなかが痛くなるケースで、多くの場合は便意が強く、下痢が起きます。いわゆる過敏性腸症候群と呼ばれる症状です

 睡眠の悩みで私のところへ相談にいらした方のなかでも、出社時間は朝の10時なのに、始発の電車に乗り、ひと駅ごとに電車を降り、駅のトイレに駆け込んでは、また電車に乗るというように、毎日必死で通勤している人がいました。

 睡眠不足によって自律神経の働きが悪くなり、過敏性腸症候群の症状に悩まされている人は決して少なくありません。寝不足が続いているビジネスマンの皆さんは、どうぞ注意してください。