息子はフランス人学校へ 成長に合わせて多文化共生の発信を続けたい

―― 国際結婚をされているということで、今後の教育方針についても夫婦で話したりするのでしょうか?

粟野 私は、日本で暮らしていて、子どもたちの日本語も全く問題ないので気にしていませんでしたが、夫はずっと考えていたようでした。子どもたちは日本人でもあると同時にフランス人でもあるので、フランス人としてのアイデンティティーをどう得ていくのか、と。

 しばらくは日本で暮らしていくだろうということで、来年の小学校入学を前に夫婦で話し合った結果、長男はこの9月にフランス人学校に入学させることになりました。公立の保育園に通っていたため、日本語は全く問題ない一方で、フランス語は父親との会話のみ。今後、どこかで習得していく必要があったからです。

 今までは保育園の親同士のネットワークのおかげで、LINEグループで持ち物の確認をし合うなど助け合いながら日々を乗り切っていたのですが、これからは色々と勝手も違うと思うので、不安もありますね。

―― この9月から新しいスタートですね。粟野さんのパラレルキャリアについても、今後の展望や目標を教えてください。

粟野 NPO団体「ザ・グローバル・ファミリーズ」の活動については、自分や他のメンバーの子どもたちの成長に合わせて、活動の幅や内容も広げていきたいです。色々な年齢や興味にあった活動ができればいいなと思っていますし、これまで以上に家族で多様な価値観に触れる場や、多文化共生について語り合える場作りをしてきたいです。

 本業についても、仕事を通して少しでも社会に貢献したいという思いから、予てから熱意を持って取組んでいるESG(環境・社会・ガバナンス)分野に引き続き関わって、その発展に寄与していきたいと思っています。

粟野さんのお助けアイテム

(1) タブレット&「Chromecast」

「YouTube動画などに子守りしてもらっています」(粟野さん)

(2) ネットショッピング

Amazon・楽天・オイシックスのサイトで買物するのは、ほぼ毎日とのこと。

(3) 3人乗り電動自転車

雨の日以外は、保育園の送迎にも買物にも必須です。

取材後記

明るく真っ直ぐな雰囲気が印象的だった粟野さん。新卒で勤めた会社を辞めて、インターンシップに行ったというオランダで、カルチャーショックを受けながらも多様性の面白さや重要性を実感したという話にとても共感しました。“グローバル”というと、“英語の勉強”だと捉えられがちですが、実際はそうではなく丸ごと多種多様な世界を受け入れる経験です。「ザ・グローバル・ファミリーズ」の運営にもその時の経験が生きているのではないでしょうか。訪日外国人も増え続け、東京オリンピックも迎える中、今後の活動がますます楽しみです。

(撮影/鈴木愛子)