つまるところは管理職が覚悟を決めるか決めないか
山口 様々な問題を解決するキーとなるのは、やはり管理職の教育、イクボスの育成だと思っています。そして、管理職が覚悟を決めるか決めないか、がポイントですね。
例えば、ある企業の現場は、若手の女性社員の比率が高く、彼女たちが入れ替わり立ち替わり産休や育休、時短を取る状況にありました。その対策として、誰でも複数の仕事ができるように社員を多能工化したそうです。その部署のマネジャーは、「別の業務をしていた若手社員に、少し難しいかもしれないと感じる業務を思い切って任せてみたら、なんとかできた。その経験から、お互いのほんの少しの成長を計算に入れて、業務をカバーし合うことにした」と言っていました。
また、ある企業の管理職の方は「女性の産育休の場合は、出産予定日が明確なのだから、そこを目標にして逆算し、きちんと計画的に引き継げば、問題ない」と話していました。
要は、管理職が「産育休や時短の対策は、チーム内の体制や業務分担を柔軟に変更していくことで対応する」と覚悟を決めるかどうかが重要なのではないでしょうか。もちろん、例外もあるとは思いますが、覚悟を決めるだけで先へ進むことができるのでは、と思いました。仕事の属人化を解消する、若手の成長の機会とする、という副産物を積極的に取りにいくことで、ピンチを組織が次のステップに成長するチャンスと捉えてはいかがでしょうか。
―― ありがとうございました。第5回は、中央大学大学院・戦略経営研究科・教授の佐藤博樹さんにお話を伺います。
(取材・文/小林浩子、撮影/鈴木愛子、イメージ画像/iStock)