根底にある男女差別 “闇”は深い

―― 「出産した女性に期待しない企業」と「男女ともバリバリ企業」の2つがあるというお話ですが、日本社会全体を見てどちらが多いイメージかというと……。

山口 全体の印象で見ると、「出産した女性には期待しない」という企業が多いですね。先進的な企業だけ見ていると、すごく進んでいるように錯覚しますが、日本の企業社会の根底には男女差別があります。いまだに男女平等は実現していないのです。

 例えば、コース別雇用管理制度がありますね。コース別採用をしている会社が全体の1割、大企業では半数近くあり、増加傾向にあります。コース別雇用管理制度のある会社では、女性総合職の新卒採用は約2割、男性が8割です(厚生労働省が2014年に行った、コース別雇用管理制度に関する調査より)。総合職の女性の割合が少ないせいで、「女性は企業の中で期待される存在ではない」というイメージがまだ根強く残っているのが現実です

―― 何だか一昔前の話を聞いているようですが……。

山口 もちろん先進的な企業は違いますよ。一般職をなくし、地域限定職や総合職に移行した、という企業もあります。でも、1986年の男女雇用機会均等法施行以降、大卒の女性が総合職に採用されるようになって30年経ちますが、まだまだ日本は過渡期という印象です。

画像はイメージです。
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