「なんちゃって育休」でも、今は取得することが大切
日経DUAL編集部(以下、――) 昨年は、初代グランプリ企業となったサントリーの「育休復帰後のフルモード化」、初代・特別奨励賞の丸井グループの「男性育休取得率を上げる取り組み」、同じくダイキン工業の「3種類の在宅勤務」などが目立ったキーワードとなりました。今年も引き続き、「共働き子育てしやすい企業ランキング」のアドバイザーを務めていただきますが、今年に入って、何か変化を感じますか。
山口さん(以下、敬称略) 昨年も男性の育休取得はキーワードでしたが、「男性の育休取得率向上に積極的に取り組みたい」という企業が増えているのを、今年も引き続き実感しています。数年前は、こちらから質問しても消極的なトーンで返ってくる会社が多かったのですが、今は「男性育休に関して具体的な目標を掲げました」と自ら言い出す企業が増えています。「プラチナくるみん」(国が認定する「子育てサポート企業」のマーク)を取りたいから男性育休取得のパーセンテージを上げたい、という企業の声も聞こえてきます。国が取得目標を掲げて推奨している効果が出ているといえます。
―― 育休取得といっても1~2日では「なんちゃって育休」だという批判もありますが。
山口 確かに「1~2日では意味がないのでは」という声も聞きますが、今のステップでは、とにかく「休みを取る」ことが最優先。日数はとやかく言わなくてよいと私は思います。たった1日でも24時間育児に専念するという経験が大切です。極端なことを言うと、有休だろうが配偶者出産休暇だろうが、休みを取って育児をしてくれさえすればいいと思っています。もちろん、なるべく長い期間の休業を取ってほしいですが、短い日数でもないよりはいい。みんなが休むようになれば、次の段階として、長く取る人が何割かは出てくるでしょう。向こう5~10年後の間で状況が変わっていくことを期待します。