たくさん笑った息子の感想は「パパと見られてよかった」

 次に、7歳の息子に「どうだった?」と聞いてみました。

息子 「面白かった! ビリーがさ、クルクル宙を飛んで回って、歌も歌って、同じ小学生なのにスゴイなと思った。ビリー頑張れ! って、応援したよ」

 特に面白かったシーンは、「女の子しかいないバレエ教室のレッスンに巻き込まれて、ビリーがあっちへ行ったりこっちへ行ったり、転がりながら踊るシーン」と、「親友のマイケルとこっそり女性のドレスを身につけて踊るシーン」と、「オーディションの合否通知が届いたのを、家族みんなで取り合って開けようとするシーン」など。パパによると、それらのシーンで息子は大笑いしていたそうです。

撮影:阿部高之
撮影:阿部高之

撮影:阿部高之
撮影:阿部高之

 「大笑いするようなシーン、あったかしら…」と不思議に思いましたが、それぞれのシーンを聞くと、納得。子どもならではの視点を、息子に教えてもらいました。確かにこの作品には、笑って楽しめるコミカルなシーンもたくさんあります。切なく悲しいシーンの間に、絶妙なバランスで子どもたちの愛らしいシーンが組み込まれているので、“面白い”を優先する小さな子どもでも、最後まで楽しめたんですね。

 息子ならではの視点は、他にもありました。彼が興味津々だったのが、音楽が生演奏だったこと。息子は上演中に、「2階席あたりの壁に、ある映像が映っている」ことに気付いたそうです。その映像は、この日の生演奏を指揮している指揮者の姿。これは舞台上の役者が歌う際に、音楽とズレないように、この指揮の映像を見ながら歌えるようになっています。

 「じゃあ、あの指揮者はどこにいるの?」と不思議に思った息子は、休憩時間に劇場内を探索。すると1階観客席の一番前に「指揮者席」を発見(ここに小型カメラが付いていて、指揮者の姿を撮っています)。よく見ると、舞台の下にドラムセットやギター、トランペットなどの楽器がズラリと並んでいました。息子は「舞台の下に、楽器を持った人がいっぱいいる。ここで弾いているんだね」と、演奏ブースをのぞき込んで大興奮。生の観劇ならではの気付きがあったようです。

 そして最後に息子が言った言葉は、「ぼく、パパと見られてよかった。それがすごくうれしかった」と。この言葉を聞いて、なんだかジーンとしちゃいました。パパと2人での初観劇。色々なコトを感じてきたようです。