実は、小学生で平均600点以上のスコアが!
日経DUAL編集部(以下――) TOEICというと、社会人や大学生が受けるイメージがありますが、DUAL読者のお子さんたちは0~12歳がメーンです。実際にそんな幼い子どもたちはTOEICと関係あるのでしょうか?
斎藤さん(以下、敬称略) 確かに日本では就職活動のために受ける学生も多いので、そういうイメージがありますが、実は世界約160カ国で受け入れられている英語能力を判定できるテストなので、そのスコアは若ければ若いほど活用の幅は広がるんですよ。日本やアジアでしか使えないと思っている人もいるようですが、実は欧米でも、留学や進学のための英語力の証明として認めている大学はたくさんあるんです。日本国内でも大学入試にTOEICスコアを代用している学校もあるんですよ。受験者は年々増え、2016年度には約250万人にまでなっています。
それに受験者数を見ていただくと、小学生や中学生の受験者もいて、意欲の高さを見ることができます。TOEICのListening&Readingテストの小学生や中学生の平均スコアは600点台! 受験者数が違うとはいえ、高校生や大学生より高いんです。
―― 最近では、私立の中学入試に英語を選択できる学校も増えてきましたね。小学校での英語の授業も始まり、英語ができることがこれまで以上に幼いうちから利点になるということでしょうか?
斎藤 語学は大きくなってからでも十分に学ぶことはできますが、実際に英語を学ぶことで得られるのは単語や語彙だけではありません。英語を通して学ぶ異文化への理解や、異なる環境や人々への対応力は、若いときから養うに越したことはないと思うのです。
日本人は英語ができないと言われていますが、実はそうでもないんですね。私はアメリカやメキシコなどに長年住んできましたが、現地でも話せても書くことをしっかりできない人は意外とたくさんいるのです。日本人は、文法などはきっちり学んでできるので、それはそれで悪いことではない。問題は、話す場所があまりないということと、相手の論理や内容を受けて「何を自分が話すか」という双方向の英語でのコミュニケーションが苦手ということです。英語とはいえ、大事なのは話す“中身”、強いては“話す人の中身”ですよね。英語を学ぶことを通して、小さいうちからそうした異文化やそれに対する自分自身という個の軸を意識する機会を与えてあげるといいですよね。
―― 英語は伝われば、ブロークンでもいいという考え方もありますがいかがですか?
斎藤 確かに話そうとする意欲は大事ですよね。しかし、外国の方と対等に向き合うためには、ある程度の英語能力がないと説得力を持ちません。ネイティブのように話せなくても、つたない英語よりは高度な英語を使えるほうが、相互理解力が高まりますよね。TOEICで出てくるのは専門的な言葉よりは、日常使う言葉や会話のシチュエーションです。そのブラッシュアップをするのにTOEICを活用していただければいいと思います。