日曜日をうまく過ごせない人が多い

―― 考え方や生活を変えるほうが大事なのですね。

 「患者さんが心がけても、急にポジティブにはなれません。継続して受診し、変わっていきます。アドバイスして、半年以上かかる人もいます。よくなると、笑いが出てきます。笑顔を見ると、治るなと思います。何事もくよくよ考えず、楽しみを見つけると、よくなっていくケースが多いです。例えば趣味で写真を撮るとか、ゴルフを始めるとか。飲み会に行って楽しいなら、お酒の悪い部分にフォーカスし過ぎず、多少は飲んでもいいのではないでしょうか」

 「楽しく遊ぶ、過ごす時間を持つのが大事ですが、日曜日をうまく過ごせない人が多いんですね。趣味がなくて、何をすればいいんですかと聞かれます。ごろごろするよりも、活動したほうがストレス解消になります。ごろごろして体の疲れは取れても、心の疲れは取れないからです

 「ストレスの原因を振り返り、何がそうさせたか自己分析をしてみてください。大きな原因よりも、じわじわとくるものがメニエール病を引き起こします。例えば、4月に異動をして慣れない環境でストレスがたまり、夏に調子が悪くなるといった感じです。患者さんには、忍耐力があり過ぎる人が多いんです」

―― メニエール病になったら、仕事はどうしたらいいのでしょうか。

 「メニエール病になっても、仕事は中途半端に休まないほうがいいと思います。1~2週間休んでも、ぶり返してしまう。なるべく普段の生活をしながら治していくのがよいと思います。しかしそれでも治らない場合は、3カ月から半年は休んで、生活スタイルを変えながら治しましょう。うつ病になりやすい患者さんも多いので、その場合は心療内科と併診を勧めます」

 「メニエール病は再発しやすい病気で、再発が前提として治療にあたります。重さや期間は様々で、症状が軽くなったり重くなったりします。環境や気質を改善してポジティブになることが大事です。できるだけ再発するまでの期間をあけ、症状を軽くするために。そうしたことを、患者さんに十分に理解してもらうのが医師の仕事です。家族にも知ってもらい家事や育児の負担を減らしましょう。育児や介護はやめるわけにいかないので、家族に協力してもらって自分の時間を作ってください」

(イメージ写真/iStock)