柔軟な対応力とアウトプットに慣れている働くママは面接に有利

 面接では、家庭での子育てに対する考え方や、親の仕事面、きょうだいとの関わり、志望理由など、様々なことについて尋ねられます。どんな質問をされるか大体予想がついたとしても、面接の場で端的に即答するのはなかなか難しいもの。働くママだからこそ、面接が有利に働くこともあります。

 「私自身、ビジネスのなかでプレゼンをしたり、セミナーの質疑応答で答えたりする機会が多かったので、相手が何を聞きたいのかを的確に把握して答える訓練になりました。本音は○○だけど、ここで言ってはまずい、というのもビジネスで身に付いています。働いている女性のほうが聡明に切り返せるかもしれません」と岡本さん。

 さらに、自分たちの頭の中でしっかりと子育ての方針や、その基礎となる考え方を確立しておく必要があります。きっちりと理論武装しておくと、幅広い質問内容に臨機応変な対応ができるようになります。

 「子どもの健康な心と体を育てることへの理解を深めるために、児童精神科の先生が書かれた本を5冊以上熟読しました。幼児期は基本的信頼感を身につけることが大切で、そこから自己肯定感を育んでいく。その理論を押さえたうえで自分の考えや家庭での取り組みを準備しておくと、面接官の方からの共感が得られやすい。娘はミッションスクールも受験したので、キリスト教の教えも組み込みました」

 一方、面接の際に気を付けたいのは、母親の仕事に対する考え方です。

 「学校のカラーによりますが、どちらかといえば家庭に入られている母親を好むところもあるようです。私も、たとえ働いていたとしても『今は育児を第一にと考えております』という体で受験しました。実際に面接で、『キャリアのあるあなたが、今後育児に専念するということについてどう思われますか』と聞かれたときは驚きましたが、『子どもと向き合ったり、育児を通して様々な経験をしたりすることで人間としての幅が広がり、それは将来のキャリアにもつながると思う』と答えました」

忙しい中でのパパとの連携。思いついたら通話アプリで共有

 面接は夫婦同席した状態で行われます。パパが面接できちんと答えられることが合格の一歩だといいます。

 「やはり面接は練習しないと結果はついてこないんです。『面接なんて簡単だよ。いつも社員の面接をしているよ』というパパこそ、早めにお教室の先生の元へ連れていくことをおすすめします。面接の場に慣れていることと、どのような質問が飛んできても、ホームラン級の回答ができることは違います

 かくいう岡本さんの夫も面接が苦手だったそう。

 「幼稚園お受験は、私のほうが積極的でした。だから、夫が試験の当日に来て座ってくれるだけで、もうそれでスタートラインだと思うことにしてあとは全部おだてましたね。ダメだしは一切せず、いいところを褒めて伸ばす。夫は最初子育てについての深い考えがなかったので、お教室での模擬面接で何を聞かれても困っているという状態でした。そこで夫にも情報共有する必要性を感じ、子どもの名前の由来をはじめ、面接のいい回答アイデアを思いついたら通話アプリですぐに夫に共有。男性部下を育てるマネジメントの仕事みたいですよ(笑)」

 「付け焼刃では答えられないような質問をされる場合も結構あります。知人は、キリスト教系の小学校の面接で『AIがどんどん発達してきますが、どのようにお子さんを教育したいと思いますか』と聞かれたそうです。今まで考えたことがなければ、その場ですぐに答えられないですよね。何十年先を見据えてどういう仕事に就かせたいかなど、日ごろから夫婦で子育てについて真剣に考え、ディスカッションをすることが欠かせないと思います」