中学受験よりも早い段階でエスカレーターに乗せてあげたい
岡本さんが子どもに幼稚園受験をさせようと思ったのは、岡本さん夫婦が共に中学・大学と2回の受験を経験したことがきっかけでした。
「私たち夫婦は中学受験組。中学受験のための勉強もしましたし、入学後もお互いの夢に向かって超難関大学合格を目指したので、子どものころの思い出のほとんどは勉強のことばかりで、それ以外の趣味や遊びに没頭したという経験がないんです。でも、大学で音楽や部活を頑張ってきた現役合格の同級生や先輩たちに出会い、衝撃を受けました。わが子には勉強だけでなく熱中できるものを見つけたり、海外留学を経験させたり、色々な経験を積んでほしい。そのためには、負荷の大きな中学受験よりももっと早い段階でエスカレーターに乗せてあげたいと思い幼稚園受験を考えました」
私立幼稚園の中でも、学習院や青山学院のように大学までエスカレーター式に行ける幼稚園もあれば、雙葉学園系や白百合学園、東洋英和のように高校までのエスカレーター式、または大半の生徒が大学で外部受験をする幼稚園、小学校受験に強いという受験予備校化した幼稚園もあります。
「私も夫も、別学の伝統中高一貫校の出身者です。別学の伝統校はお嬢様、お坊ちゃまと揶揄されがちですが、実際は異性を気にしたり、頼ったりすることなく、リーダーシップが発揮できる環境。面倒見がいいをウリにしている新興校に比べて、『伝統校であるほど、自主性を大切にし、学生の自由度が高い』という利点があります」
岡本さんが言うように、附属幼稚園を選ぶ際には、高校や大学までの子どもの進学先まで多かれ少なかれイメージしながら選択することになります。
「これからは大学がゴールの時代ではありません。例えば、東大に入ったとしても、東大に入って終わりではないと思うんです。“100年人生”とも言われる中で、今後は70歳まで働くことが普通という時代も来るでしょう。これからは18歳のときにどこの大学に入学したということで人生ずっと生きていける時代ではない。そう考えると子どもには、最終的には将来を考えたうえで、自ら進学先の大学を選んで受験してほしいと考えました。もしも中学受験をする場合、10年後は私自身仕事で求められる責任が高くなる一方、学習や塾通いでの親のサポートが不可欠。中学受験対策で頭を悩ますことなく、高校卒業までの進路の見通しができることでキャリア設計も立てやすいですよね。そうした理由から、『大学附属ではない』または『大半の生徒が大学受験をする』という選択肢の中から幼稚園選びをしました」
幼稚園ではなく、小学校受験では遅いのでしょうか?
「小学校受験のほうが、学校の選択肢は多いです。でも幼稚園受験と違い、入学試験日が11月1日に集中しているので実際に受験できる数は多くはありません。準備期間も幼稚園受験は約1年間ですが、小学校受験は1年以上前から準備をする方もいますので、小学校受験に比べると、準備時間や金銭的負担も少ないというメリットがあります」
「最大の違いは、小学校受験は本人に多少なりの自覚があり、勉強をさせられているという感じになりやすいこと。幼稚園受験は、親が子どもにどう接するかという点が問われる試験なので、ある意味“親の受験”。本人はよく分かっていないし、万が一不合格だった場合でも子どもが挫折感を味わうこともなく、子どもへの負担が少ないと感じました」