教育社会学者の舞田先生が統計データを使って、子育てや教育にまつわる「DUALな疑問」に答える本連載。第49回のテーマは学歴によって生涯賃金がどれだけ違うか、です。“人生100年”と言われている昨今、老後にどれだけのお金が残せるかは切実な問題。そのために生涯でどれだけのお金を得られるかは、皆さんが気になるところではないでしょうか。ぜひ、人生設計の参考にしてみてください。

学歴社会、ニッポン。その現実を生涯賃金から見てみよう

 こんにちは。教育社会学者の舞田敏彦です。今回は、学歴とお給料のお話です。日本は、学歴社会といわれます。学歴社会とは、地位や富の配分に際して「学歴」がモノをいう度合いが高い社会です。日本人は教育熱心で、わが子を上級学校に進学させようという家庭が多いのですが、この国が学歴社会という現実を知っているからでしょう。

 それを端的に示すのが、学歴による給与格差です。同性・同年齢の正社員でも給与に学歴差があるのは誰もが知っていますし、それを累積した「生涯賃金」となると、額の差はとてつもないものになります。その「生涯賃金」の学歴格差を明らかにしてみようと思います。

 生涯賃金を出すには、特定の世代の稼ぎを追跡する必要があります。早い人は中学校を出てすぐ働き始めますから、スタートは15歳、ゴールは定年前の59歳がよいでしょう。この現役期間を通じて、稼ぎの総決算がナンボだったかをみるわけです。