会社の先行きを考えると、男性だって共働きを望む

 海外転勤前まで、佐藤さん一家は、妻の両親と同じ街に住み、妻は職住近接でした。佐藤さんの職場まで片道1時間半かかりますが「育児はほとんど妻がやってくれていますから」と、通勤の大変さは受け入れていたそうです。

 佐藤さんの職場には共働きの人が多くいます。

 「会社の先行きを考えると、男性だって共働きを望むのが当たり前になっています。年金だって政府には頼れない、自分で運用してください、という時代です。男性の先輩や同僚も『妻が仕事を辞めるのは家計にとってリスク』と言います」

 こうした考えに基づき、佐藤さんは妻と海外勤務の可能性について、数年前から話し合ってきました。そのとき、夫婦で意見が一致したのは、

 「子どもたちはまだ小さい。海外でいろんな人と触れ合うのは教育上良い」ということでした。

 そして、妻は自身のキャリアについて、こんなふうに考えていたそうです。

 「夫から『海外転勤についてきてほしい』と言われたら行ってもいい、と思っていました。もともと夫は転勤が多いから、自分はどこかで仕事を諦めなくてはいけないかもしれない」

 自分がやりたい仕事をしながら、妻も仕事を辞めずに済む方法はないか。

 そう佐藤さんは考え、自分の職場の先輩に相談し、配偶者の海外勤務時に休暇を取れる制度について教えてもらいました。確かに、大企業や国家公務員、県庁職員などに、そういった制度があることは聞いていました。

 佐藤さん夫婦は再び話し合い、妻が自分の勤務先に、配偶者の転勤に同行するための休業制度を創設してもらえないか、頼んでみることにしました。妻が事情を話すと、勤務先の人事部門からは予想以上にあっさりOKが出たそうです。

 一方で、経営者の考えは保守的でした。


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