職場の男性から「妻が妊娠しました」と打ち明けられたとき。「おめでとう」の後に、あなたなら、どんな言葉を続けますか?

 「おめでとう。それじゃ、育休はいつからいつまで取る予定?」――男性社員に対して、そんな言葉を投げかける人は、ほんの一握りではないでしょうか。でも、もし、妊娠を告げたのが女性だったら…?

 今、日本の男性の育児休業取得率は、わずか3.16%(2016年度)と、非常に低い水準です。しかし一方で、子どもがいる男性の30%は「1カ月以上の育休を取りたかった」と答えており、男性の意向に反して、育休を取りづらいという現実があります。

 この特集は、パパとなる男性会社員の育休の取り方から制度、育休中の過ごし方などを詳しくお伝えする「パパ育休マニュアル」です。「取りたいけれど、どうしたらいいか分からない」「周りに経験者がいなくて不安」といった悩みを持つパパ、そしてパパに育休を取ってもらいたいママも必見です。

 第1回は、男性の育休取得をとりまく現状と、「なぜ、わずか育休取得率は3.16%にとどまるのか」、その背景と要因を探っていきます。

【「パパ育休の取り方、過ごし方」完全マニュアル】
第1回 もうパパを尻込みさせない 男性育休取得率3.16% ←今回はココ!
第2回 「育休完全ガイド」気になるお金や制度を総ざらい
第3回 パパ育休はどう切り出す? 過ごし方から復職まで
第4回 「産後の妻を全面フォロー」育休シミュレーション
第5回 「育児で仕事のスキルが磨かれる」第2子育休編

「2020年までに育休取得率13%」の現在地

 2015年末、政府は「一億総活躍社会の実現」に向けて、一つの目標を掲げた。当時、民間企業で2.3%、国家公務員で3.1%に留まっていた男性の育休取得率を、「2020年までに13%へ引き上げる」というものだった。さらにいえば「男性の配偶者の出産直後の休暇取得率80%」も数値目標として掲げている。

 あと2年と数カ月もすれば2020年になるという現時点で、男性の育休取得率はどこまで上がったのだろうか。日経DUAL編集部が厚生労働省に確認したところ、2016年度の男性の育休取得率はなんと3.16%。前年度の2.65%から0.51%しか上昇していなかった。その内容、つまり取得日数についても、5割以上の男性が「5日未満」に留まっており、実態としてはちょっとした連休程度のものでしかない。数日の育休で、男性が主体的に育児参加したといえるのだろうか。

 このように、現在の日本で育休を取る男性は少なく、長期となると“超少数”なのが現実だ。しかし実は、育休を取得したいと望む男性自体は少なくない。内閣府の調査では、子どものいる男性のうち「30%」は、「1カ月以上の育休を取りたかった」と答えている(「平成27年度少子化社会に関する国際意識調査報告書」)。

 育休取得を望む「30%」の男性が、仮にその半数でも希望通りに育休を取れれば、目標の「13%」に届くはずだが、なぜ「3.16%」にとどまっているのか。

 育児休業取得率の推移(男性)

 (出典:平成28年度雇用均等基本調査

<次のページからの内容>
・男性の育休取得を妨げる「職場の空気」
・“妻の後押し”も大切な要素
・育休取得は人材確保と能力向上につながる
・育児をシェアすることで深まる夫婦の絆
・会社に拒否されたら労働局に駆け込もう
・あなたがロールモデルに!