幼児教育の最重要課題「体を動かすことで学ぶことが助長される」

 取材当日のプレスクールの子どもたちの活動は、試合形式のサッカーの練習だった。2つのチームに分かれてボールのパスを求めて声を掛け合ったり、体育館内を全力で走ったりと、他の保育園とのトーナメント試合を翌日に控えて練習に熱がこもる。こうした団体競技は、『体を動かす』『ルールを守る』『団結力』『チームワーク』という目的をもった活動だとマケラさんは説明する。

プレスクールの子どもたちはこの日サッカーに熱中! 広々とした体育館を息を切らしながら、ボールを追って走り回っていた
プレスクールの子どもたちはこの日サッカーに熱中! 広々とした体育館を息を切らしながら、ボールを追って走り回っていた

 「幼児教育における今年の最重要課題は、体を動かすこと。体を動かすことで学ぶことが助長されると言われています。ここで言う『体を動かす』とは砂場でただ座っているというのではなく、保育の中で1日2時間思いっきり体を動かす時間を作ること。最近では『1日3時間』必要と言われるようになりました。3時間と聞くと長いように感じるかもしれませんが、階段を上ったり、歩いたり、日常動作の中にいかに運動を取り組むかを意識してプログラム計画を立てています」

 近年親による自動車での移動・送迎やタブレットの普及による室内遊びの増加により、日常生活の中で子どもの体を動かす機会が減っていることが懸念されていることも背景にあるのだという。

3~5歳クラスは室内にあるソフト素材の遊具を台にして、クッションの上へジャンプ! 楽しそうに何度も繰り返す
3~5歳クラスは室内にあるソフト素材の遊具を台にして、クッションの上へジャンプ! 楽しそうに何度も繰り返す

家庭環境に近く、大人と子どもの身長差に配慮した机と子どもいす。園児の着替えを手伝う専用の着替え台もあり、保育士が腰を屈めなくても、着替えが手伝えるようになっている
家庭環境に近く、大人と子どもの身長差に配慮した机と子どもいす。園児の着替えを手伝う専用の着替え台もあり、保育士が腰を屈めなくても、着替えが手伝えるようになっている

 1階と2階をつなぐ階段には1段1段に滑りどめが付いていたり、階段の踊り場にはおもちゃや絵本を置いたり、自然な動きを取り入れながら子どもの成長・発達を促す環境整備への細やかな配慮がなされていた。