ディレクター的役割の幼稚園教諭と、現場を担う保育士の連携

 縦割り保育を行う同保育園では、3歳未満、3~5歳、6歳プリスクールの3つのクラス編成。全日保育の利用は最長10時間まで。希望する場合は朝食を保育所で食べることもできる。

 一般的にフィンランドの保育園では、幼稚園教諭と保育士に加えて、介護士・保育士・障害福祉士などの共通資格である「ラヒホイタヤ」と子どもの活動を支援する「子どもリーダー」が加わって運営されている。3歳未満は4人に1人(1クラス定員12人まで)、3歳以上は7人に1人以上(1クラス定員21人まで)の保育士を配置することが法で定められており、クラスに1人は幼稚園教諭を置くのが基本。

<幼稚園教諭と保育士の主な役割の違い>

□ 幼稚園教諭……活動計画を立てるほか、幼児教育という観点から保育計画を立て、園のマネジメントを行う。クラスのディレクター的存在。大学の修士資格が必要。
□ 保育士……幼稚園教諭が立てた計画に合わせて、保育業務を分担し行う。資格取得は、専門学校卒業レベル。一般的に給与水準は幼稚園教諭よりも月3万円程度少ない。

 3歳未満児の活動は毎日プログラムが異なり、部屋遊び、外遊び、運動、造形、音楽など多彩な内容。1週間単位で決められ、子どもの送迎時に保護者がいつでもチェックできるようプログラムが各クラスの壁に張り出されている。また、週1回は担任から保護者へ1週間の活動の振り返りやトピックスをメールで配信される。

 絵の具遊びや工作のような創作活動は、1人1人に目が行き届くよう少人数制。こうした活動を行う場合はクラスを2つに分け、一方は創作活動、もう一方のグループは外遊びをするなど、遊びの中で子どもの興味を引き出す活動が十分に行えるようプログラム内容のシフトを組み、柔軟に対応していた。

3歳未満クラスの絵の具遊び。色鮮やかな絵の具を使い、紙に自由に色を塗っていく
3歳未満クラスの絵の具遊び。色鮮やかな絵の具を使い、紙に自由に色を塗っていく

園内の壁には、外遊びの活動写真や子どもたちによるカラフルなアート作品など飾られている
園内の壁には、外遊びの活動写真や子どもたちによるカラフルなアート作品など飾られている