2017年6月12日、都内で開かれた「第3回婚活シンポジウム『婚活のその先へ』」に不妊治療専門・黒田優佳子先生が登壇しました。「妊活のその先へ 未来の子ども達のために今私たちが考える」というテーマのもと、精子学を専攻した産婦人科医師の立場から不妊治療の現状を語ります。

不妊に悩む夫婦は、5組に1組

 結婚して「赤ちゃんが欲しい」と思ったら、すぐに妊娠できると思う人は意外と多いのですが、実は、そう簡単ではない場合も多々あります。ですから、婚活をした先に「妊活」をする必要があるかもしれません。

 妊活の一つの選択肢として「不妊治療」があります。現在、不妊に悩む夫婦は増加し、カップル5組に1組は不妊といわれる時代になりました。ですから、実は、不妊は夫婦にとって身近な問題です。

 実際のところ、なかなか妊娠できないとなると、どうしても女性側に問題があると思われがちです。「不妊=女性の問題」という固定観念が社会一般的に定着しており、女性側の心理的ストレスの比重が高くなります。

 しかし実は妊娠できないのは、男性側の精子の責任も大きいのです。

 本日私がお伝えしたい結論は、「将来の日本を支える未来の子どもたちが、健康に生まれ心身ともに健康に育つために、不妊治療において精子の品質管理が極めて重要であることを知ってほしい」ということです。

 不妊原因の約半数は、実は精子側に原因があります。また、その約90%は原因不明の精子形成障害です。

 つまり、なぜ精子が上手に造られないのか? という原因が明らかになることのほうが極めて少ないのです。そのように精子形成障害の原因がほとんど解析されていないのが現状ですから、当然のこと、根本的に精子を良くする薬剤の開発には至っていません。そこで現状では、精子形成障害の治療には、顕微授精に代表される生殖補助医療(不妊治療に用いられる生殖を補助する技術)に頼らざるを得ない状況で、顕微授精が生殖補助医療の80%以上を占めています。

 ここで「生殖の仕組み」について少しお話をしたいと思います。

次ページから読める内容

  • 妊娠が成立するには、精子と卵子の両者50%ずつの役割分担の成立が必須
  • 顕微授精が急速に普及した原因の1つは、精子の研究が出遅れたこと
  • 不妊治療の精子側の技術は、ウシ家畜繁殖領域から導入された
  • 種ウシの運動精子ならよいが、ヒトの運動精子は穿刺できるのはごく一部
  • どのような精子を穿刺するかが、生まれる子の健常性に直結する可能性あり
  • 見た目には問題ない精子でも、様々な機能異常が隠れていることが多い
  • 不妊治療をする医療機関には「精子の品質管理」の重要性を知ってほしい

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