共働き家族の皆さん、今の住まいに100%満足していますか? 動線が悪くて家事の効率が悪い、収納が少なくてモノがあふれている、在宅で仕事をするスペースがないなど、気になる点があるのではないでしょうか。夫婦がそれぞれに働き、家事をする時間が少ない共働き家族には、共働きだからこその住まいの工夫が必要です。そこでこの記事では、収納カウンセラーの飯田久恵先生に共働きの住まいについてアドバイスを伺い、数多くの共働きの家を見てきた編集部からも共働きの暮らしが快適になる住まいのヒントを提案します。ぜひ家作りの参考にしてくださいね。

「共働き」の悩みを解決する5つの新常識

 今や“子どもがいても共働き”という生き方が多数派になる時代です。住まいに関しても、これまでの常識を当てはめていては、必ずしも暮らしやすい家にはなりません。そこで日経DUAL編集部が提案したいのが、快適に暮らせる家を作るための「共働きの家作り 5つの新常識」です。1つずつ紹介していきましょう。

1.人の出入りを考える

 共働きの大きな特徴は、夫婦不在の時に人が家に出入りすることです。子どもが小さいうちは急な発熱で保育園にお迎えを頼んだ両親やベビーシッターさんが、子どもが小学生くらいになると、一人で登下校のために玄関のカギを開け閉めします。急に両親にお迎えを頼んでも大丈夫なように、日ごろから整理整頓しやすく、誰が見ても分かりやすい収納にしておくことや、貴重品の置き場に配慮が必要です。スマートキーを導入して子どものカギの閉め忘れを防ぐことや、不在中の人の出入りが分かるような防犯対策を考えたいものです。

2.家族で家事をシェアする

 夫婦で同時に家事をしたり、できる時間にそれぞれが家事を分担して行うのが、共働きの家事スタイルです。家作りの前に、キッチンには2人同時に立つことが多いか、洗濯物はどこに干すかなど、自分たちはどんなスタイルで家事を行いたいのか、話し合っておきましょう。リビング・ダイニングの近くに多目的スペース・ルームを作ることで、家事がグンとラクになります。

3.一番大切なのはリビング・ダイニング

 リビング・ダイニングは家の要となる空間です。朝は家族がそれぞれの場に出勤、登校・園して、夕方には再集合して時間を過ごす場所。子どもが小さい期間は寝る以外のほとんどを過ごす場所でもあります。遊びや学習が出来るように、また子どものものがしまえる収納を用意するなど工夫をしましょう。

4.子どもの力を伸ばす家

 最近の中学入試、大学入試は、単に暗記した知識を書かせるのではなく、知識をもとに、考える力を問う傾向が高まっています。リビングやダイニングはそんな力を育てるのにとても適した空間です。例えばリビング学習ができる環境を整えてあげると、親と一緒にいられる、見守られている安心感で子どもは集中して勉強ができます。また、キッチンを子どもと一緒に立ちやすくすれば、料理をしながらコミュニケーションがとれるだけでなく、子どもがお手伝いをしやすくなります。お手伝いをすることは子どもの自立心につながります。共働きの親は日々社会でいろいろな考えの人と接し、様々な問題を解決しています。そうした社会経験の一端や、一つの考えに偏らない多様性を生活の中で子どもに伝えられることは、大きなメリットです。

5.共働き仕様の収納

 忙しくて、モノを探す間も惜しい共働き夫婦。取り出しやすくて、戻しやすい収納は必須条件です。動線に沿った適材適所の収納になるように意識しましょう。

 次のページからは新常識2で触れた「洗濯」「多目的スペース・ルーム」について、収納カウンセラーの飯田先生に詳しくお聞きします。

キッチンからリビングが見通せてコミュニケーションが取りやすい。リビングに面したキッチン裏側の収納は、子どもが小さいうちは、子どもの衣類の収納などにも利用できる
キッチンからリビングが見通せてコミュニケーションが取りやすい。リビングに面したキッチン裏側の収納は、子どもが小さいうちは、子どもの衣類の収納などにも利用できる