有ると無しでは大違い! 多目的スペースの役割

 洗濯の項目でも登場した「多目的スペース・ルーム」(以下多目的スペース)。いったいどんな空間のことなのでしょうか。飯田先生はこのように話します。「多目的スペースは用途を限定しない部屋のことです。この空間は共働きにとても役に立ちます。理想の多目的スペースは、リビング・ダイニングに隣接していて、キッチンから見える位置にあることです。和室にするか洋室にするかは好みですが、和室だと赤ちゃんを昼寝させたり遊ばせたりするときにも安心ですね。畳に座って洗濯物を畳んだりできて便利です」。

 “多目的”というだけあって、使い方は多岐にわたります。「洗濯物を干したり、子どもがおもちゃを広げたりと、生活感にあふれる空間になる可能性があります。サッと閉められる引き戸をつけておくと、来客時に目隠しになっていいですね」と飯田先生。

【多目的スペースの使い方】

・子どもスペース(世話をする、遊び、昼寝をする)

 子どもの成長に伴って、空間に必要な機能は変わります。そんなときにフレキシブルに使える多目的スペースは大活躍。生後すぐは布団を敷いたり、ベビーベッドを置いたりして、赤ちゃんの昼の居場所やお世話グッズの置き場所に。おすわりやハイハイを始めたら、柔らかい床材を敷くと安全に遊べます。

・保育園グッズを収納する(世話をする、遊び、昼寝をする)

 通園の支度は毎日のこと。保育園に必要な衣類やバッグ、おむつのストックがリビングの周辺にあると、寝る前や出勤前にササッと支度ができて、生活がスムーズになります。

・おもちゃ、子どもの衣類を収納する

 幼児期になるとおもちゃや絵本が増えてきます。自我が発達するこの時期は「ここなら思い切り遊んでもいい」というスペースを用意してあげることが必要。その際にも多目的スペースは便利です。片付けの習慣がつくように、おもちゃや絵本の収納を整えてあげましょう。

・夫婦の衣類を収納する

 玄関からリビングの動線付近に夫婦の仕事着を収納できると朝の支度や帰宅後にとても便利です。その収納場所の候補になるのが多目的スペースです。

・洗濯物を干す・畳む

 洗濯は極力同じ(または近い)場所に、干す・畳む・しまうの機能を集約すると、動線が一気に短くなります。多目的スペースを洗濯スペースと位置付ければ、洗濯機から洗濯物を運んだ後は1カ所で終わるので、家事の負担が減ります。

・在宅ワークをする

 今後、ますます導入する起業が増えてくる「在宅ワーク」。どこで仕事をすれば?と悩みますが、多目的スペースの一角にデスクを置いて、ワークスペースを確保するのも一手です。持ち帰り仕事が多い人にも便利。住まいを計画する際には、在宅ワークで使用する機器とそれに応じたコンセントの数を計画しておきましょう。

リビングとダイニングの間に作った多目的スペース。仕切りをすりガラスにしたので、閉めておいても気配が感じられる
リビングとダイニングの間に作った多目的スペース。仕切りをすりガラスにしたので、閉めておいても気配が感じられる

リビング横を小上がりの和室にした多目的スペース。床下は収納にして子どものおもちゃなどを入れている
リビング横を小上がりの和室にした多目的スペース。床下は収納にして子どものおもちゃなどを入れている