結婚・出産後間もなく、子育てとの両立のため民間企業へ転職

―― 秘書としては5年間勤めた後、結婚、そして出産を経験します。産後間もなく民間企業に転職をし、今に至るまで大きな転機を次々と迎えられています。

小宮山 民間企業への転職は、仕事と子育ての両立のためです。結婚したらすぐ子どもが欲しかったのですが、拘束時間が長い議員秘書では両立することは難しいと思ったんです。転職を実際にしてみて分かったことなのですが、議員秘書としての能力とキャリアは、民間企業での仕事の評価に換算するのが難しいようで、転職企業を見つけるのには苦労しました。業種を絞るというよりは、秘書としての仕事から関連企業へと広げていきましたね。

―― そのとき、お子さんはまだ1歳くらい。企業や家族の転職活動への捉え方で壁を感じたことはありますか?

小宮山 夫も共働き家庭で育ち、夫の母はジェンダー意識が高い、ワーキングマザーの大先輩でした。私が働き続けるということは、夫婦の間でも了承済みでしたし、夫はそもそも私が自由に働けるよう最大限努力してくれる人なんです。だから、新しいキャリアの道を開くために必死で転職活動をしましたよ。自分の好きな球団以外の役員秘書の試験まで受けたりして(笑)。

―― 結果、教育業界大手のベネッセコーポレーション(現・ベネッセホールディングス)の役員秘書への採用が決まりました。

小宮山 やはり教育の仕事がしたかったので、当初からベネッセに行けたらいいなと思ってはいました。ご縁があったときはとてもうれしかったですね。当時会長でいらした福武總一郎さんの秘書を務めさせていただくことになり、すべての子どもに良質な教育を受けられる機会をつくりたいという思いを強くする貴重な経験をさせていただきました。

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 行政から民間へ、そして長年の夢だった教育に携わる仕事へと邁進していった小宮山さん。次回は、小宮山さんのキャリアとそれを支える家族との時間、子育てとの両立、ワーキングマザーの先輩である母と義母から受けた影響についてさらに掘り下げて聞いていきます。

(取材・文/玉居子泰子 写真/小野さやか 構成/日経DUAL 加藤京子)

小宮山利恵子
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
リクルート次世代教育研究院 院長

超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。東洋経済オンラインにてICT教育の連載を持つ。教育新聞特任解説委員。財団法人International Women's Club JapanにてSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育推進委員長を務める。全国の学校等で情報モラル啓発講演を実施した経験がある他、テクノロジー、AIを用いた教育を中心に国内外問わず幅広く取材・講演活動を行っている。国会議員政策担当秘書資格取得。