教師からの電話に涙した母 いつもそばで伴走してくれた

―― ご両親からは、ゲームばかりしないでもう少し勉強しなさい、と言われたりしなかったんですか?

小宮山 父はあまり教育のことについては口出ししない人だったんです。母も遊んではダメ、というようなことは一切言わなかったですね。「目が悪くならないよう気を付けなさい」というくらい。

 当時、男の子に紛れてイタズラばかりして成績も悪かったので、よく学校の先生から呼び出されたり、電話がかかってきたり、母はしょっちゅう泣いていました……。

―― 担任の先生からの電話の後は、叱られたりも?

小宮山 勉強の成績が悪かったことで、頭ごなしに叱られたことはありませんでした。本当にありがたかったのは、勉強嫌いの私が勉強を少しでも好きになれば、と朝と夕食後に毎日母が隣で一緒に勉強してくれたことです。

 母も家事や仕事ですごく忙しかったのに、「勉強しなさい」とただ口先で言うのではなくそばにいてくれました。今私も子どもの勉強時間に合わせて、読書の時間にしているのですが、幼少期の経験が大きく影響を受けていると思いますね。

子どもの性格に合わせて、姉妹の個性を伸ばしてくれた母
子どもの性格に合わせて、姉妹の個性を伸ばしてくれた母

高学年 担任に褒められる経験で学習への意欲が芽生えた

―― それほど「勉強嫌い」だった女の子が、その後大学、大学院と進学し、韓国、チュニジアに留学、そして議員秘書として政治の世界に進み、現在は教育機関のマネジメント職として働いています。その変化の原点は、どこにあったのでしょうか。

小宮山 小学校5年生のときの担任との出会いですね。自由裁量型の考えをする男性で、大枠のゴールを示した後、そのアプローチなどの細かなことにはあまり口出ししない先生だったんです。それまで学校では叱られてばかりだった私のことを認めてくれて、三者面談のとき母に、「この子は今は大変に見えるけれど、大人になったらきっと大成しますよ」と言ってくれたんです。

―― 親の影響はもちろんですが、魅力的な大人との出会いも子どもが変わるきっかけを与えてくれますよね。お母様も小宮山さんもうれしかったでしょう。

小宮山 その先生は私にも、「思い切り遊ぶことも勉強なんだよ」と教えてくれました。褒められるという体験をすることで、ああ、自分は間違ってなかったんだって思えるようになって。「自分で考えて、学べばいい」と言われて、褒められることが増えてくると、逆に勉強もしっかりするようになりました。