赤ちゃん時代から始める読み聞かせの5ステップ

<ステップ1>  6カ月ごろから
絵本年齢:モノに注目できるようになったら

 赤ちゃんがモノに注目できるようになったら、スタートしてみましょう。ステップ1は、絵本を使って認知を高める時期です。絵本はモノの名前を覚えることを助けてくれます。お話を最後まで聞かせることが目的ではありませんので、ほんの数秒でも絵に注目できるようになることを目標にして、絵本を見ながらお話を聞く習慣を付けられるといいですね。

【絵本の選び方】
 文字が少ない「絵」を中心とした身近なテーマの絵本
例:『やさい』(福音館書店)、『にんじん』(福音館書店)

【読み方のコツ】
 このステップに限らずですが、読み聞かせるだけで終わらせず、絵本の中に出てきたものと、実生活とを結びつけること(例えば人参が出てきたら、本物の人参を触ってみるなど)を習慣にしていくと、より認知が高まります。

【よくある質問】
 「絵本をなめたり、ぐちゃぐちゃにしたりしてしまいます」というお悩みをよく聞きますが、これは興味のある証拠。「絵本」という概念もない時期ですから、あまりナーバスにならずに、「数秒でも絵に注目できる」というくらいを目標に、大人も一緒に楽しんでほしいと思います。

<ステップ2>  1歳半~2歳前後
絵本年齢:絵本に10秒以上集中することができるようになったら

 同じフレーズやセンテンスの繰り返しのリズムを「心地よい」「楽しい」と感じる時期です。日常から別の世界へ行き、また戻ってくる――という構造を持つ「行きて帰りし物語」を選んで、あり得ない世界観を存分に楽しみましょう。また、お話を読み終えた達成感もしっかり味わってもらいたいですね。

【絵本の選び方】
 あり得ない世界観の絵本、終わりが明確な絵本
例:『おおきなかぶ』(福音館書店)、『はらぺこあおむし』(偕成社)、『ぞうくんのさんぽ』(福音館書店)など

【読み方のコツ】
 読み終えたら「はい、おしまい」と言って、絵本をパタッと閉じるなどすると、「絵本を1冊読み切った」という達成感をより味わうことができます。

【よくある質問】
 「これ読んで~と同じ絵本ばかり持ってきます」という声もよく聞きますね。お子さんが選んだ絵本を楽しんだ後に、パパやママのおすすめ絵本も読んであげるとよいでしょう。子どもの意思は最大限尊重し、その上で、常に新しいものと出会える機会を提供することを意識しましょう。

<ステップ3>  絵本年齢:「行きて帰りし物語」を最後まで集中して楽しめるようになったら

 お話を聞かせる時期の到来です。4~5歳になると少しずつ「時制の感覚」ができてくるため、ストーリーの楽しさに触れられるようになります。道徳心や親切心など、絵本を通じて子どもに身に付けさせたい価値観に触れられるのもこのころからです。

【絵本の選び方】
 おとぎ話や童話など昔から読み継がれる絵本
例:『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)、『シンデレラ』、『三匹のこぶた』など

【読み方のコツ】
 絵本を読む前に始まりの合図の歌を歌うなど、落ち着ける時間をつくり、集中して聞ける態勢をつくりましょう。読み終わったら、親子で感想を会話してみましょう。その繰り返しが言語能力を育みます。

<ステップ4>  絵本年齢:カラフルな絵本を最後まで読み切ることができるようになったら

 モノクロの絵本で言語能力を鍛えるステップです。絵のヒントなしに言葉だけでストーリーを理解できる力を養っていきましょう。

【絵本の選び方】
 セピアやモノクロなど単色の絵が描かれた絵本
例:『もりのなか』(福音館書店)、『また もりへ』(福音館書店)など

【読み方のコツ】
 絵本を読んだ後、自分の気持ちや感想を親子で言い合える機会を増やしていきましょう。また、子どもの表情に気を配り、集中できていないときには、少し前に戻るようにすれば理解力が鍛えられます。今までのステップよりハードルが高いので、うまくいかなくても焦る必要はありません。あくまでもお子さんの絵本年齢に合わせてステップを進めていきましょう。小学生になってからも、本を読めていないと感じたら「行きて帰りし物語」のステップに戻っても遅過ぎることはありません。