子どもが小さいころは、「好きな人ができた」と聞くとほほ笑ましく感じていたものの、子どもが成長し親の目が行き届かなくなるにつれて、心配してしまうことも……。ましてや「付き合っている人がいる」と子どもに言われたら、親はどんな反応をすればいいのでしょうか?

 イマドキの小学生の恋愛はどのようになっているのか、親はどのように対処したらいいのか、特集として紹介します。第1回目の今回は、小学生の恋愛の実態や恋愛が子どもに与える影響について、都内の教育委員会の教育相談スーパーバイザーを務める、昭和女子大学教授の山﨑洋史先生に話を聞きました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
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 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

小学生の恋愛は、昔と変化している

 小学校高学年の子どもを持つ日経DUALの読者に、子どもの恋愛経験についてアンケートを取ったところ、「小学4年生のときに女子から告白された。デートは学校内で休み時間に一緒に図書館行ったりしている程度」「小学5年生のときに、好きな人が誰々でお互いに好き、などと言っていた。2人では恥ずかしいのか、土日に男女4人くらいで一緒に公園で会っていた」という声が聞かれました。

 まだまだかわいらしい話にほっとひと安心ですが、実際のところはどうなのでしょうか?

 小中学生の恋愛事情に詳しい山﨑先生は、小学生の恋愛は昔と変化している、と言います。

 「子どもというのは、独立して存在するのではなく、社会文化に一番過敏に反応する存在です。例えば今、幼稚園や小学校では『はげ』という言葉がはやっています。『はげ』と言った国会議員のニュースが繰り返し流れたことによる影響でしょう。そういう意味で、子ども文化は我々の社会の投影。社会が変われば子どもたちも変わる、と考えなければいけないと思います」

子どもはマスコミやインターネットの影響を受けやすい

 「女の子は男の子に比べて、発達心理学的にも社会性に対して早く認識し、成長します。そのため、もともと恋愛に対して関心が高いので、意識し始めたり認知したりすると、どんどん恋愛のイメージが膨らんでいきます」と山﨑さんは指摘します。

 「昔は『ニコ☆プチ』といった小学生向けのファッション誌はありませんでした。今は雑誌でおしゃれやファッションをはじめ、『勝負を決めよう』『男の子にモテ筋』などうたっています。親も『好きな子いるの?』なんて聞く文化がありますよね。マスコミでも、常に恋愛のことを取り上げています。このような文化の中で、早期に反応する子たちが出てきているのは事実です」

<次のページからの内容>
・ ネットリテラシー、親が気を付けていても友達の影響は防げない
・ 小6女子の「付き合う」の定義と実態
・ 子どもが「付き合っている」と話してきたら、どうする?
・ 人を好きになることは、子どもの成長にいい影響がある