自分がかなり強気な交渉をしているのは分かっています(苦笑)。

 でも、自分が大切にしたい最優先は家族。そのためにより厳しく仕事を見ざるを得ないとなったときに、空気を読んだり、つながりや人付き合いを大事にし過ぎたりすると、パンパンになってしまいます。だから、血も涙もないと分かりながらも合理的に判断しています。

 そううまくはいきませんし、すぐには思い通りにいきません。大事なのは、この意識をもってやるかどうか。家族を笑顔にするためには、他にしわ寄せがいく局面はどうしても出てきます

自分たちのライフスタイルに合わせて「必要な収入」を算出する

 給料が2倍になったから、2倍広い部屋に住む――。これが人間の摂理ですよね。

 でも僕は、違うと思います。これだと、給与額に自分のライフスタイルが左右されてしまっています。先に自分や家族にとってベストなライフスタイルがあって、それに必要な収入はいくらか、と考えることが大事。「自分たちの生活に必要な年収っていくらよ?」というところからスタートするべきです

 年収が1億円あれば、高級車や都内にマンションを複数買っちゃうのが一般的。でもこれは、インプット(収入)も多いと同時に、アウトプット(支出)を上げているだけです。絶対的な幸福の価値基準ではないと思います。

 人間の満足度は、インプットとアウトプットのバランスです。だから、インプットを上げる努力と同様に、アウトプットを下げる努力もしないといけない。

 要するに、年収1000万円の収入で十分な生活サイズにすれば、年収3000万円も稼ぐ必要はない。出費がいくらくらいだからこれくらい欲しい→○円稼ぎたいとなり、それが適切なバランスになったときに人間の満足度は上がります。

 1000万円の生活でいい人が2000万円もらっていたら満足度は高いし、逆にいうと3000万円の生活をしたい人の年収が2000万円だったら満足度は低くなります。「アウトプットを見直していますか?」「あなたにとって、どれくらいの生活の規模が適切ですか?」の目線を忘れてはいけません。

 本当に必要なライフスタイルは自分のなかにあり、それに必要な給料はもう自分で決めちゃう。つまり、アウトプットが先でインプットを決め、インプットに見合った額を稼ぐ方法と仕事量を逆算していく。僕の場合なら、そうやって逆算することで1本当たりに欲しいギャランティーが決まってきます。

 先にアウトプットを決めて収入や働き方を考えるほうが、豊かさは間違いなく上がると思っています。

(取材・構成/平山ゆりの 撮影/柳沼涼子、片桐寿憲<タイトルバナー>)