「防災ぜいたく」で、楽しくローリングストック

 保存性だけを重視し、普段食べていないものを食べなければいけないのは、被災時のストレスを増大させます。いつも食べ慣れているものをストックし、賞味期限前に食べて買い足していく「ローリングストック」を心がけましょう。

 私が実行しているのは、普段はなかなか手が出せない高級な缶詰、レトルト食品をストックすること。食べるのが楽しみなので、賞味期限を忘れることもありませんし、おいしいので、被災時でも気持ちが明るく、前向きになります。

 最近のフリーズドライの味噌汁はおいしいですが、普段使いにはちょっと高価ですよね。でも被災時にこそ、そういう、少し高くてもおいしいものを食べましょう。日ごろから食べているもので、いつもよりちょっとおいしいものを食べられると、安心できるし気分が上がるんです。私も、ちょっと高めでもおいしいレトルトカレーを被災時用にストックしています。

特におすすめなのは、サバの味噌煮、焼き鳥缶など、味付缶詰です。被災時にはあれこれ味付けを考える余裕もありませんが、こういう缶詰はそのまま調味料代わりになります
特におすすめなのは、サバの味噌煮、焼き鳥缶など、味付缶詰です。被災時にはあれこれ味付けを考える余裕もありませんが、こういう缶詰はそのまま調味料代わりになります

坂本先生が常備しているのは「ビーフカレータヒチ風(840g・4人前)」(エム・シーシー食品/写真左)だそう。また、最近ではアレルギー対応の缶詰として「栄養士とシェフが作る豊かで美味しい備蓄缶シリーズ(6缶セット)」(黒潮町缶詰製作所/写真右)も販売されている
坂本先生が常備しているのは「ビーフカレータヒチ風(840g・4人前)」(エム・シーシー食品/写真左)だそう。また、最近ではアレルギー対応の缶詰として「栄養士とシェフが作る豊かで美味しい備蓄缶シリーズ(6缶セット)」(黒潮町缶詰製作所/写真右)も販売されている

カロリーよりも、たんぱく質、葉酸、ミネラル

 被災時は食べられるものが限られるため、栄養が極端に偏りがち。カロリーが足りていても、ビタミン、ミネラルが不足すると体調を崩し、危険な状態になることもありますので、注意が必要です。

 子どもの脳を守るためには、毎日一定量の必須アミノ酸を取ることが重要です(前回を参照してください)。被災時のたんぱく源としてとても便利なのが、煎り大豆なのです。

 常温で保存でき、加熱調理できないときはそのまま食べられる。水で煮れば、だしもとれる(精進だし)。1日10粒食べさせれば、脳を守ることができると言われています。

 煎り大豆は、電子レンジで簡単に作れます。1カップ分を皿に置き、2~3分電子レンジにかけるだけ。2分、電子レンジにかけてみて、皮が弾けていないものがあったらさらにもう少し加熱。全部の皮が弾けたら出来上がりです。普段からこまめに作っておき、子どもにも食べ慣れさせておくのも大切ですよ。

 また、ふもたんぱく質補給食品として常備しやすくおすすめです。

 それから、ライフラインがストップしていると、野菜も手に入りません。野菜不足を補い、食物繊維、ミネラルを補給するためにぜひ活用したいのが、乾物です。

 特に切干大根は少量の水で戻せ、包丁もいらないので衛生的です。ビニール袋に入れてマヨネーズや塩昆布であえれば、フレッシュな大根の風味が味わえ、サラダ感覚で食べられます。これは洗い物も出ないですし、野菜を刻む手間も省けるので、日ごろの調理にも活用できます。被災時に急に作ろうと思っても戸惑ってしまいますので、普段から作り慣れていることも大事です。