9月1日は防災の日。子どもたちは学校や保育園で、親は職場で防災訓練があったり、家庭でも防災アイテムの見直しをしたりしているのではないでしょうか。前回は親が守れない状況でも子ども自身が自分の身を守り、生き延びるために携帯させたいもの、その理由をお伝えしました。しかし災害は、直後だけでなく、その後も日常生活に大きな影響を与えます。

 そこで今回は災害が起きた後、どんな備えがあれば子どもの命を守り抜くことができるのか。1995年の阪神・淡路大震災の被災者であり、自らの経験に基づいた防災術を発信している料理研究家の坂本廣子さん・坂本佳奈さんに伺いました。

(上)2歳児から豆・水・マスク携帯! 防災の新常識
(中)子どもを守り抜くガスボンベ・ポリ袋・煎り豆・茶葉 ←今回はココ!
(下)災害用トイレ なぜ自分で用意する必要があるのか

最低限、何を用意しておけばいいの?

 大きな災害の後は、電気やガス、水道といったライフラインが途絶えます。また、地域全体に食材が届かない状態が何日も続くでしょう。そんな中でも、子どものために、ごはんは用意しなければなりません。

 では子どもの命を守るために、最低限、何を用意しておけばいいのでしょうか。

 私は以下のものを薦めています。

ライフライン復旧までに必要なもの一覧

ペットボトルの水(被災時は水道水も危険)
直径30cm以上の鍋(煮沸消毒用に)
カセットコンロとカセットボンベ(どちらも煮沸消毒に必要)
IH調理器(これまでの経験上、最初に復旧するのは電気)
ポリ袋(汚染されているものに直接触れないで食事や調理をするために必須)
ちょっと高級な缶詰、レトルト食品(ローリングストックしやすく、被災時に気持ちを明るくする「防災ぜいたく」に必要)
フリーズドライの味噌汁など(食べ慣れているものを食べられるようにする)
味付きの缶詰(調味料代わり)
煎り大豆(子どもの脳を守るたんぱく源として。あらかじめ加熱調理されているので、そのまま食べられ、だし代わりになる。電気が使える状況なら1カップずつ電子レンジに入れて2~3分加熱すれば簡単に作れる)
レトルトの煮豆(子どもの脳を守るたんぱく源)
・ふ(たんぱく源)
切干大根(野菜が手に入らないときに、サラダ感覚で食べられる)
塩昆布(ミネラル補給、調味料代わり)
のり(ミネラルの宝庫)
茶葉(葉酸補給)

 これらを備えておくと、何ができるのか。次ページから解説していきましょう。