夜間保育園の一般的なイメージと偏見を払しょくしたい

―― 片野園長は、監督にどのような映画を撮ってほしいと思っていらっしゃったのでしょうか?

大宮 夜間保育園がもっと増えてほしい、そのきっかけになるような映画を希望されていました。でも、実際には夜間保育園というものがあること自体あまり知られていません。なので、僕は父兄の声を聞き、保育士さんの声を反映させながら、夜間保育園の姿をありのままに映像としてまとめて、まずは夜間保育園の存在を知ってもらおうと思いました。そして、夜間保育園という一般的なイメージと偏見を少しでも払しょくできればと。

―― 夜間保育園を知るきっかけとして、とても素晴らしい映画だと思います。認可の夜間保育園がもっと増えるといいですね。

大宮 そうですね。一方、認可を受けていない園も否定はしません。介護の世界でも、介護保険を使っていないところも結構あって、利用する家族の側は経済的には大変な面もありますが、運営する側がこうありたいと思う理念通りにお年寄りと接することができたり、書類に縛られることがなかったり、それぞれの施設の独自の考えがあって、僕はそこに共感もします。保育の場合も、選択肢として認可外もありだと思うんですね。認可外イコール悪者という考え方にはくみしません

―― 正直、私は認可外保育園に対して良いイメージを抱いていなかったのですが、この映画に登場する認可外のベビーホテルの現場で真摯に取り組んでいる保育士さんの姿を見て、考えが変わりました。すべての認可外が悪いわけではないのに、そのイメージが植え付けられてしまっていますよね。

大宮 僕は子どもが4人いて、もうみんな大人ですが、上の2人は“自主保育”でした。近所のお母さんたちが一緒に子どもたちと過ごす。これも認可外保育かもしれません(笑)。
(編集部注:自主保育は認可の枠にとらわれず、保護者が当番で子どもの世話をする保育の形。保育の場所や時間は運営者によって様々)

―― なるほど。ルールに縛られず、独自に保育をするということも、認可外の良い面ということですね。

大宮 そうですね。認可、認可外両方の選択肢があっていいと思います。それぞれの家族や地域の特性もあるでしょうし。

沖縄県那覇市の「玉の子夜間保育園」は20年前に沖縄県のモデル事業としてスタートした
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