持たせたいもの(1)子どもの脳を守る“豆”

「井村屋 えいようかん (5本入り)」500円。長期保存可能(賞味期限設定5年)、食品衛生法で対象とされるアレルギー物質を含んでいない
「井村屋 えいようかん (5本入り)」500円。長期保存可能(賞味期限設定5年)、食品衛生法で対象とされるアレルギー物質を含んでいない

 防災おやつは市販品のものも多くありますが、必ず「豆製品」を一つ入れてください。それは子どもの脳は発達途上、常に脳を作る素材である必須アミノ酸を必要としているからです。それがなければ、脳が発達を止めるだけではなく、今まで発達してきた状態も失うことになってしまいます(海外の飢餓地帯などでは、脳の成長期に極端なたんぱく質不足に陥り、体は大人になっても脳は子どものままになってしまう例も多くみられるのです)。

 また食べものが必要量の半分しか入手できないときでも、そのうちの10~20%(重量比)を豆に置き換えることができれば、子どもの脳は発達すると言われています。おにぎり1個しか食べられない場合も、10粒の煎り豆があったら、最低限のたんぱく質は補給できるのです。

 たんぱく質が大事だからと言って、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質を常に携帯するのはまず無理ですよね。でも植物性たんぱく質である豆なら携帯が可能です。大豆、小豆、金時豆、ソラマメ、ひよこ豆、何でもかまわないのです。

 例えば、ひとくちサイズのようかんや、個包装の甘納豆なら、糖分も含まれているので、低血糖を防ぐこともできます。またかなり長期保存できるようかんもあります。

持たせたいもの(2)呼吸困難から守る「マスク」「バンダナ」

 都市部の震災で一番怖いのは、建物が倒壊したときに大量発生する「粉じん」です。特に小さな子どもがこの粉じんを大量に吸い込むと、窒息したり、将来的に肺機能の低下による病気を引き起こしたりすることもあります。

 子どもがいつどこで被災して助かるよう、サイズの合ったマスクを携帯させ、「揺れたらまずマスク!」と日ごろから教えておいてください。

 普段使う、風邪や花粉対策のマスクも密着していることが求められますが、粉じん除けのマスクはさらに密着度が重要。というのも、少しでも隙間があると、鼻や口から粉じんが入り込んでしまい、危険だからです。

 子どもの成長に応じたサイズで、粉じんを防げるほどぴったりフィットするマスクは市販品にはないので、伸縮性のあるキッチンペーパーに切れ目を入れたマスクを作って持たせておくといいでしょう。私が愛用しているのは、ユニ チャームのキッチンペーパー「クックアップ」。伸縮性があって密着しやすいので、お勧めです。

【子どもにもぴったり密着するキッチンペーパーマスクの作り方】

(1)伸縮性のあるキッチンペーパーをまず三角に折り、2辺に切り込みを入れる
(2)底を広げ、三角の切り込みの小さな切り込みの、サイドに当たるところを折り込んでいく
(3)その下の部分を折る
(4)さらに上を折ると穴の開いたフィルター、いわゆる3層の安心フィルターマスクができ上がり。穴の開いたところの切り込みを耳に掛ける。小さな子どもの場合は切り込みを深く、顔の大きな人は切り込みを浅くすることで自在に変化させることができる

(出典:『くらしの防災』メタモル出版)
(出典:『くらしの防災』メタモル出版)

坂本先生が愛用しているのは、ユニ チャームのキッチンペーパー「クックアップ」(オープン価格。※編集部調べ300円前後)。「伸縮性があって密着しやすい」(坂本先生)とのことです
坂本先生が愛用しているのは、ユニ チャームのキッチンペーパー「クックアップ」(オープン価格。※編集部調べ300円前後)。「伸縮性があって密着しやすい」(坂本先生)とのことです

 なお、バンダナや大きなハンカチも用意しておきましょう。特にマスクが用意できなかったようなときには、逃げるときに口の周りに巻くと簡易マスクとして使えますし、斜めに折って長い帯状にすれば簡単な止血もできます。また端と端を結べば、物を運ぶ袋としても活用できます。