もし都市部に大地震が起きた場合、大量の帰宅困難者が発生し、共働きの親は何日も子どもと離れ離れになる可能性が高くなります(関連記事「大地震になれば、共働き親はわが子と3日会えない」)。親が守れない状況でも、子ども自身が自分の身を守り、生き延びるためには、何を携帯させるべきか。1995年の阪神淡路大震災の被災者であり、自らの経験に基づいた防災術を発信している料理研究家の坂本廣子さん・坂本佳奈さんに話を聞きました。

(上)2歳児から豆・水・マスク携帯! 防災の新常識 ←今回はココ!
(中)子どもを守り抜くガスボンベ・ポリ袋・煎り豆・茶葉
(下)災害用トイレ なぜ自分で用意する必要があるのか

子どもに携帯させたいのは、「豆」「マスク」「水」

 災害は予測不能です。災害も災害後暮らしも、いつもの生活の延長線上にあるものです。「いざというときの備え」は実は日常を基準に考えるべきで、日常に全く必要を感じないものは、災害時にもいらないものであることが多いものです。

 皆さんは現在、どんな「備え」をしていますか?

 もしかして、子どもと一緒にいることを想定して、大人だけが用意しているのではないでしょうか。

 確かに、仕事などで子どもと離れている時間よりも、一緒にいる時間のほうが(睡眠時を含めれば)長いかもしれません。でも、一緒にいるときにだけ災害が起きるわけではないのです。

 つまり、子ども自身にも備えが必要です。

 その際、色々なものが入った大きな防災バッグは一見、役に立つように思えますが、大きなバッグは平時、ロッカーで保管するようになってしまいます。それを災害時、とっさに判断して子どもが取り出せるとは限りませんし、重くて大きい荷物は逃げるときの邪魔になります。つまり、

・いつも身近に置いておけたり、持ち歩いたりできる小さな軽い物
・色々なことに使える汎用性の高いもの

を厳選することが重要です。

 なかでも私がお勧めしたいのは、写真のようなものを詰め合わせたパックです。

(出典:『くらしの防災』メタモル出版)
(出典:『くらしの防災』メタモル出版)

 そして特に重視しているのが、次の4つです。

(1)子どもの脳を守る“豆”
(2)呼吸困難から守る「マスク」「バンダナ」
(3)脱水症を防ぐ水
(4)汎用性の高い大小のポリ袋

 なぜこうしたものが重要なのか。次ページから、その理由を詳しくご説明しましょう。