就学前の発達障害の子どもの支援体制が求められている
文部科学省が2017(平成29)年3月に「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」を公表しました。
ガイドライン策定の背景には、文科省が推進してきた2007(平成19)年の学校教育法改定による特別支援教育についての規定や、国連による障害者の権利条約の採択等を踏まえての2013(平成25)年の学校教育法施行令の改正による、様々な障害のある児童生徒に対する指導や支援の充実が求められてきたことなどがあります。
一方で、「発達障害」と診断されたことで、就学時の進学先や受け入れについて頭を悩ませる親の声は今もあり、その背景には未就学児については小中学校に比べると支援の整備が遅れていることも、関係していると考えられます。
そんななか、早期に発見し、介入することが重要だとする流れが強くなってきています。
では改めて、幼児期にチェックしておくべき発達障害とはどのようなものなのでしょうか。
発達障害というのは生まれながらの特性
厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」では、
「発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。」と記述しています。
(出典:「みんなのメンタルヘルス:発達障害」)
もう少し具体的に言うと、子どもが社会生活をするうえで身に付けたい考え方や行動、生活習慣、学力などが、なかなか身に付けづらい状態のことで、社会性やコミュニケーション力、学習能力などの特定の発達に遅れや偏り、困難さがあるので「発達障害」と呼ばれます。
例えば、じっとしていなければならない場面で体が動いてしまい、そわそわしたり、立ち歩いしまったりする。順番が待てなかったり、衝動的でちょっとしたことで手がでてしまったり暴言をはいたりする。保育園などで周りの子どもとなじめず、活動から外れてしまう。こうした子どもの行動も、背景に発達障害があることで起きている場合があります。
こういう場合は、「親の教育がなっていない」とか「子ども本人の性格が悪い」などと周囲から責められることが少なくありません。しかし発達障害というのは生まれながらの特性であって、決して子ども本人がだらしないとか、我慢が足りないということではありません。もちろん親のしつけが原因でもないのです。