わたしの中に潜む、「息子を自分色に染めたい」という願望炸裂

 4歳になる我が家の息子がアリス・クーパーの『Hey Stoopid』にハマっているという話は以前に書いた(過去記事、「金子達仁 『子は親の鏡』ってのはホントだった」を参照)。

 は? 誰それ? な方のために説明しておくと、アリス・クーパーとは、1948年デトロイト生まれの、アメリカン・ハードロックの重鎮である。独特のだみ声やフェイス・ペインティングは、多くのロックスターに影響を与えたばかりか、自ら天才と称していた画家のサルヴァドール・ダリまでもが、そのライヴに参加することを熱望した凄い御方なのである。

 ま、若かりしころから50を越えた現在にいたるまで、基本的にはもっと鉄っぽい“ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル(NWOBHM)”を偏愛してきたわたくしからすると、いささか軟弱すぎるというか、「なあにラブとかハニーとか歌ってンだよ」的なところはあるのだが、「法律をぶっ壊せ!」とか「これが復讐の叫びだ!」とか絶叫している方々に比べれば、はるかに一般受け、女性受けがよかったのは認めざるを得ない。分かりやすくいうと、ボン・ジョヴィの先駆けっていうか(分かりやすくないか)。

 ともあれ、音楽的にはちょっぴりギュインギュインするところはありつつ、どこかに必ずキャッチーなメロディがサビとして入るアリス・クーパー御大を、我が家の息子・虎蔵(仮)はすっかり気に入ってしまい、クルマに乗るたびに「パパ、ヘイヘイヘイかけて」とおねだりしてくるようになったのである。

 わたしは喜び、ヨメは呆れた。

 指摘されてなるほどと思ったのだが、確かにわたしの中には「息子を自分色に染めたい」という願望が潜んでいた。それは、母親のように自分のお腹を痛めていない父親ゆえの衝動なのか、はたまた単純にわたしという人間の個人的な資質によるものなのかはわからない。とにかく、ヨメいわく「わたしにはまったく理解不能」な衝動が、わたしにはあった。

 虎がウルトラマンにはまっていくのが妙に嬉しかったのも、たぶん、根っこにあったものは同じである(過去記事、「金子達仁 ウルトラマンスタンプラリー我が家の結末」を参照)。