息子よ、その歌詞の意味を知るのはまだ早いぞ

 「ヨークルー(Your cruel) ディーバーイ(device) ヨーブルー(Your blood) ライカーイ(like ice) ワンルー(one look) クッキー(could kill) マイペーイ(My pain) ヨースリー(your thrill)」

 さて、英語が堪能なDUAL読者の中には、ちょろっと紹介した歌詞だけで『ポイズン』がどんな曲だか、想像できてしまった方がいるかもしれない。一応、そうでないわたしと同じような英語力の方のために、虎が大好きになってしまったサビの部分の歌詞も紹介しておくと──。

 「愛したいけど、触れないほうが身のためだ。抱きしめたいけど、俺の本能がやめろという。キスしたいけど、あまりにも欲しがりすぎる。味わいたいけど、お前の唇は猛毒だ」

 えーというわけで、だいぶ艶っぽい歌詞でありまして、その証拠にといいますか、改めてこの曲のミュージック・ビデオを見てみると、息子さんが高校生になっているお母さんでさえ「できれば目に触れさせたくないな」と感じるであろう代物でありました。

 それを延々と歌い続ける4歳児ってどうなのよ。

 幸か不幸か、大学の偏差値はだいぶ高めだったわりに実際の英語力となるとわたしと大差のないヨメは、『ポイズン』を熱愛する息子を見ても何も言わずにいる。ま、幼いころから英語に親しむのも悪くないわね、ぐらいな感じだろう。

 でも、いいんでしょうか、これ。

 断言することはできないのだが、結構な確信を持って言えることがある。それは、『ポイズン』をこれほどまでに執拗に聞いている4歳児は、世界広しと言えどもそうはいまい、ということ。たぶん、辛めに見積もっても世界ベスト10には入るのではないか。

 何せ、いまは2017年で、『ポイズン』が大ヒットしたのは1989年で、歌詞は艶っぽくて、ミュージック・ビデオとなると現代の地上波ではオンエアほぼ不可能、といってもいい代物なのだから。

 ま、よほどの変人じゃない限り、これを4歳児に聞かせる英語のネイティブはいないだろうし、かといって英語を理解しない人間がこんなにもアリス・クーパーを聞きまくることは考えにくいし。

 ともあれ、最近では「せめてクイーンあたりにしとけばよかったかな」などと思いつつ、相変わらず息子のおねだりには屈し続けているわたくしである。ただし、ちょっとばかり嬉しい誤算もあって、あんまりにもリピートし続けたおかげで、『ポイズン』はわたしにとって人生で初めて最初から最後まで歌うことのできる英語のハードロック・ナンバーになった。いつかカラオケで披露して友人を驚かせてやろっと。