セックスレス、という言葉がすっかり定着し、その状態にある夫婦は珍しくなくなりました。それどころか、下手をするとセックスレスの夫婦のほうが多い、といった傾向も出てきています。

 一方、セックスレスでも仲良しという夫婦や、セックスはしないけれどもスキンシップはよくするという人もいます。共働き家庭が増え、夫婦の役割やその在り方も多様化が進み、「かくあるべき」という伝統的な夫婦像が崩れつつあるようです。

 夫婦にとってセックスとは、どうしても必要なものなのでしょうか? 今回日経DUALでは、夫婦のセックスレスとスキンシップの在り方について徹底的に取材しました。第5回は、ここ数年、夫婦が触れ合う機会が激減している…そんなデュアラーに向けてスキンシップ不足をごく自然に解消する実践的なテクニックを専門家に伺いました。5ページ目からは、専門家直伝のメソッドをセックスレス経験のある2つの家庭で実践。歩み寄りのアプローチや夫婦関係の変化に関する赤裸々ルポも参考にしてください。

【“仲良しセックスレス”はアリ? 夫婦のスキンシップ特集】

第1回 “夜の営み”アンケート「セックスは好きですか?」
第2回 男女の性欲は加齢により変化 妻の本音と女性の体
第3回 妻としたい気持ちと折れる心 夫の自尊心と男の本能
第4回 閲覧注意! セックスの悩みに答える「直球Q&A」
第5回 マンネリ夫婦の関係改善 スキンシップ&歩み寄り術 ←今回はココ!
第6回 ゲイとレズの逆転夫婦「ノンセックスでも深い絆」
第7回 「でも、子どもは欲しかった」結婚23年目の初告白

マジシャンの理論を応用 逆算的思考で原因を掘り下げる

 日々の育児や仕事に追われ、スキンシップどころかコミュニケーションもままならない夫婦が、セックスレス問題を解決するにあたって、まずするべきことは何だろうか?

 婚活中の男女や夫婦を対象にコミュニケーション、スキンシップ講座などを開き、プロマジシャンとしても活躍している日本いい夫婦協会代表理事のかりゆしたつやさんは、「マジシャンの基本的な考え方、つまり結果から原因を考えるという逆算的思考は夫婦問題の解決にも当てはまります。まず、セックスレスという現象に至る原因を考えるところから始めましょう」とアドバイス。

 ワンオペ育児と家事の疲れ、仕事のプレッシャー、残業続きの睡眠不足……。共働き世帯がまず思いつくであろう原因は一つではないが、「日常的な行動から掘り下げていくと、お互い思いやる心の軽視が根底にあることが多い」とかりゆしさんは指摘する。

 「環境要因・人的要因と分けて考えていくうち、例えば『夫のことを子ども扱いしていた』、『妻の思いを受け止める時間を持たなかった』というような内的要因も発覚するでしょう。相手を軽視した態度が積み重なると、夫婦の距離感が離れてしまうのも当然のこと。本当にセックスレスを解決したいなら、気付いたほうがまず、『原因は自分にもあるかもしれない』という俯瞰した視点を持つことが非常に大事です

 「そうした前提を持って関わることをしないと、今の硬直状態から抜け出すことはなかなかできません。どちらかが歩みより、気持ちを受け止める姿勢を作ることで反発も和らぎ、本来持っていたお互い相手を尊重し、分かち合える素敵な関係性に近付けるのです」

 結果を変えるために、原因の一つ(=自分の言動)を変える。その場合、マジックではプロセスやタネが分かると興ざめしてしまうのと同じで、基本的には種明かしはせず、パートナーに気付かれないように戦略的・計画的に行うとより効果的だという。

 次ページからは、セックスレスの原因の一つにもなる、夫婦のスキンシップ改善の具体的ノウハウを紹介していく。

≪次ページからの内容≫
・【STEP1:タイミング】衝突・ケンカをしたときが話し合いのチャンス
・【STEP2:ニーズをつかむ】心に響くのはどれ? 5つの「愛の言語」
・【種明かしありバージョン/なしバージョン】準備と段階的アプローチ
・今日から実践! スキンシップ・テクニックの基本
・夫婦関係改善への試行錯誤は、キャリアアップにつながる
・<お試しルポ1>「妻から求められない」 日常を見直し過去と向き合った
・<お試しルポ2>ワンオペ不満でレス4年 「性的興味もなくなった?」に踏み込む