「やり抜きたいこと」がブレない

―― 14人ほぼ全員が、長女であったとか自立を促される環境で育ち、先生に期待され、クラスメートには頼られる存在だった、そうした資質の部分の影響は大きいのかなとも感じました。

坂東 いわゆる「普通の、女性らしい生き方」から見れば、例外的な存在ですから、それを可能にしたのは、子どものころからのちょっと変わった環境だったのでしょうね。

―― 権力者と仲良くすることでとやかく言われるリスクについても、嫌みを言われたとき「あの方は、私のファンなんですよ」と、ものともしない切り返し方ができる。なぜそれができるのかといえば、やり抜きたいことがブレていないから。スポンサーの存在は予想以上に大きかったですね。そして、それを公明正大に使う。

坂東 悪びれずに。新しいスタイルですね。そうした姿を見ている後輩は、“お姉さんたち”の技術は絶対に盗むでしょうね。

50代は組織をステップアウトしてもよい

―― こうした成功例の一方で、50代で疲れて大企業を辞めてしまう管理職女性もいるという事実については、どう思われますか?

坂東 50代の課長クラスで、大企業を辞めてしまう女性ですよね。私は、これ以上の出世が望めない50代で退職するというその選択そのものは潔いと思うんです。

 企業に対しては「もったいないじゃない。この人たちを活用しないでどうするのよ」と声を大にしたいですね。機会を与えられず、成長する機会がないから大企業を辞めるというのは、企業からすれば大きな喪失ですから。

 でも女性の側に立つなら、30代くらいでは出産というライフイベントがあるわけだから、そのときは「寄らば大樹の陰」ということで、大企業で過ごし、40代で会社の中で認められていく。でも50代になったらステップアウトを考えてもいい。

―― ステップアップではなく、ステップアウトですか。

坂東 女性活用の声に乗って管理職を増やしたけれど、実際には手応えのある機会を与えていないことも多いですから。そんな会社でステップアップを目指すなら、ステップアウトのほうが生産的かも。