ママ一人に育児、家事の負担がかかってしまう“ワンオペ”解消に向けたノウハウとして、様々なリソースと連携したマルチオペレーション型の「マルオペ育児」へのシフトを提案する本連載。今回のテーマは「テクノロジーの活用」です。

 マルオペ育児の鍵となるのが、夫婦間での円滑な情報共有。しかし、多忙な共働き夫婦にとってはその時間をつくるのが難しく、忙しい毎日の中でミスコミュニケーションが多発しがちです。その課題を解決する糸口を探るべく、今回はGoogleの女性活躍と働き方改革を推進するプロジェクト「Women Will」でプロジェクトリードを務める山本裕介さんに「マルオペ育児とテクノロジーの活用」をテーマにお話を伺いました。

 前回はテクノロジーがどのように夫婦間のコミュニケーションを円滑にするかについて、Googleが行った調査の結果をもとに話してもらいました。今回は具体的なテクノロジーの具体的な活用法についてお話を伺います。キーワードは「ベースラインの情報共有」「情報量のフラット感」です。

テクノロジーの活用は夫婦のコミュニケーションを促進する

林田香織さん(以下、敬称略) テクノロジーの活用によって、逆に夫婦間のコミュニケーションが減るのではないかと心配する声もありますが、そのあたりはいかがでしょうか? 

山本裕介さん(以下、敬称略) おっしゃるように、テクノロジーというと機械が何かをしてくれるぶん、人間同士の生のコミュニケーションが減るのではないか、と聞かれることがあります。しかし、調査によると、逆に夫婦間のコミュニケーションの時間が増えており、またその満足度も男女ともに向上している、という結果が得られました。

提供:Google
調査時期 2016/10/22-10/23
サンプル数  本調査 N=1,236
対象者条件
・全国の20歳~49歳
・既婚子あり
・配偶者と同居
・夫婦共に就業 (総務省「労働力調査(詳細集計)」の定義と合わせた非農林業雇用者)
・長子年齡小学生以下
・本人、配偶者いずれもスマートフォンユーザー

山本 例えば、子どものプールのスケジュールを共有しておくと、家に帰ってから「今日プールどうだった?」というところから会話を始められますよね。「今日、プール行ったんだけど」というゼロベースからの情報共有から始めないといけないのとは状況が違います。夫婦どちらからでも話題を振ることができますし、話し始めるときのハードルが低いんです。

 ベースとなる情報が頭に入っているかいないかだけで、思っている以上に夫婦の会話や親子の会話は変わってくると思います。

林田 なるほど。共働き夫婦の会話は業務連絡的になりがちですが、基本的な情報共有はスケジューラーで済ませておくことで、その先にあるより詳しい話や深い話ができるし、その関連の雑談や世間話的な会話も促進されるんですね。

山本 スケジューラーを使えば、お互い最新の予定をいつでもどこでも確認することができるので、「事務連絡」ではなく、夫婦にとって重要な話題に時間を使うことができます。テクノロジーが無駄な時間を減らし、夫婦間のコミュニケーションの質・量ともに向上させると考えています。