「仕事をしてごめん」と男の人は謝っていない

山崎 それに、仕事をしてごめん、と男の人は謝っていないですよね。それなのに、なぜ女性だけ仕事をしてごめん、と言わないといけないのだろう、と前から思っていました。夫と同じくらい仕事を頑張っているのに、女性だけごめんというのはおかしいと思います。

 私自身、夫のほうが収入が少ない、と思うのはできるだけやめよう、と反省するようになりました。どっちが稼いでいるかは家族なのだから考えないほうがいい、そのほうが絶対にうまくいく、ということがだんだん分かってきたんです。

 女性のほうが収入が少ない場合でも、仕事をしているなら誇りを持っていいと思います。どっちが多く稼いでいるから家事の分担がどうこう、というのはおかしい考え方です。

―― 夫婦間の収入の格差によって、夫が家事や育児をしない、妻も遠慮して言えない、という状況があるという話も聞きます。山崎さんの言葉が励みになります。

山崎 私も人間ができていなくて、結婚したばかりのころは、私がこれくらい稼いでいて、夫がこれくらい稼いでいるから、家事も同じ割合で夫のほうが多く分担してほしい、と言ったことがありました。でも、結局私のほうが家にいる時間が長いし、夫よりもスキルがあるので、私のほうがたくさん家事をしている。「あれ、なんか損している」と思っていました。

 でも、夫が家事以外で与えてくれているものはいっぱいあるし、精神安定もくれている。会社を経営しているわけではないのだから、平等な負担とか平等な経営ということを考えないほうが絶対にいい。

 ふたりで健康的に暮らし、どちらかが精神的に不安定にならないようにする、ということだけ気を付ければいいと思い始めたら、ものすごくうまくいくようになりました。

 世の男性も、自分はこれくらい稼いでいるから家事をやってくれ、というのは絶対に思わないほうがいいと思います。そのほうが、楽しくなると思うから。女性も収入のことで引け目を感じない方がうまくいくと思います。