二人目不妊の問題点「卵子の加齢」と「セックスレス」

 育休・職場復帰、仕事と育児の両立を考えると、それぞれの家庭でベストなきょうだいの年齢差があることでしょう。しかし、妊娠・出産は計画通りにいかないことがほとんどです。「二人目不妊」と呼ばれる状態も要因の一つ。

 夫婦の間の生殖機能に大きな問題がなく、一人目を授かったのに、なかなか二人目を授からない状態を「二人目不妊」と一般的に呼びます。

 木場公園クリニックの吉田淳院長によると、「二人目不妊の決まった定義はありませんが、タイミングを合わせて性交渉をしても、半年くらい授からなければ、二人目不妊と捉えて、治療を始めるタイミングだと言えます」と話します。

 吉田先生に、二人目不妊の問題点をお聞きしました。

 卵子の質の低下

「初産年齢が上昇している現在、二人目を望む年齢も必然的に上がっています。一人目のときに比べると、二人目ではそれだけ加齢によって卵子の質が低下しているため、妊娠しにくい状態になっています」

 多忙な毎日でセックスレスに

「育児・仕事に追われて性交渉を持つ気になれない人は非常に多く、妊娠のチャンスが激減してしまいます。排卵日を狙って性交渉をすることは男性にとってもプレッシャーになり、勃起障害を引き起こす原因にも」

 子宮トラブルの増加

「卵子に比べると、子宮は加齢による影響を受けにくいですが、加齢にともなって、子宮筋腫や子宮腺筋症などの子宮のトラブルが増えると、妊娠しにくくなることが考えられます」

 男性側の不妊原因の増加

ストレスや加齢によって精子の質が低下するケースがあります。ある男性のケースでは、数年で精子の数が10分の1まで減りました。二人目不妊を疑ったら、精子の検査も併せて受けることをおすすめします」

 授乳後の影響

母乳を作るプロラクチンというホルモンは排卵を抑制するため、授乳中は妊娠しづらい状態になります。断乳して生理が再開するとプロラクチンの値が下がりますが、時々高いままの状態の人がいます。プロラクチンの値が高いと妊娠しにくいので治療が必要です」

「一人目が自然妊娠だと二人目もなるべく自然で…と考えますが、一人目を妊娠してから数年経っていると、その分、卵子は加齢の影響を受けるので、妊娠率は低下し、流産率は高くなります。二人目で初めて不妊治療をスタートする人も少なくありません」(吉田先生)

 たとえ一人目出産の実績があっても、加齢による卵子の質の低下は避けられません。「仕事が落ち着いたら」「数年の間に…」と考えているうちに時間が経ち、妊娠しにくくなるのは事実です。「二人目がなかなかできないと感じたら、できるだけ早めの受診を」と吉田先生は言います。

 次回は、二人目不妊の具体的な治療の流れ、医療機関の選び方、妊娠率を上げるためにできること、についてお伝えします。

(取材・文/中島夕子)

吉田淳

木場公園クリニック院長。産婦人科・泌尿器科医。生殖医療専門医・臨床遺伝専門医。医学博士。経営学博士。1999年木場公園クリニック開院。女性不妊症・男性不妊症の両方を診察・治療できる、日本では数少ない生殖専門医。2014年「二人目不妊専用フロア」をオープン。http://kiba-park.jp/