晩成型の脳は、14歳までに活性化すれば十分だ
子どもの個性は色々です。
幼稚園児や保育園児でも、「ここに座っててね」と言われると、いつまでもおとなしく座っていられる子がいますね。でも「集合!」と言われた瞬間、木に登り始める子もいます。実はそれは子どものときの私でした。
前者であれば、中学受験をさせるのは容易かもしれません。大人の期待を察知して、その通りに動ける子ですから。
問題は、後者のタイプです。「なんでウチの子、こんなこともできないの?」と親を悩ませるような、晩成型の子。こういう子を小学生のうちに無理やり勉強させようなどと思ってはいけません。反抗的な態度をとるかもしれませんし、塾に行っても授業中におちゃらけて「塾代が全部ムダ」ということにもなりがちです。
それに、この連載で何度も言っていることですが、子ども時代はとことん遊び込む必要性があります。遊びの中で発想したり、気づいたり、学んだり、この世の神秘に心をときめかせたりする体験が、その後の人生における発想力や実行力の土台になるからです。
晩成型の子は、とくにその土台づくりが必要です。一日中好きなことをアレコレやって、体も心も脳もたっぷり使って遊び倒して、夜はドンと眠って朝になったら元気に目覚める。それを12~13歳までしっかり繰り返すことで、脳が活性化するのです。勝負はここからです。本格的な学習は、14歳からで十分に間に合います。
晩成型の子は「根拠のない自信」を育てることが大事
14歳から勝負をかけるということは、高校受験で勝負するということ。すなわち、公立中学校に進むということになります。
公立中学に進んだ場合、上位30%に入るのは必須命題だとお伝えしました(第3回)。そのために必要なことは、小学生時代の「国語力」と「体験」です(第4回)。ここまではよろしいでしょうか。
ただ、晩成型の子はなかなか親の望み通りにいかないことが多いものです。不器用だったり、集中力がなかったり、落ち着きがなかったり。そういう子を育てるうえで親が絶対にしてはいけないことは、自信を失わせることです。自信を無くしてしまうと、晩成型の子は伸びるチャンスを逸します。
できないことより、できることは何かを伝えてください。苦手なことは脇に置いて、得意なことを自覚させましょう。
私自身、あきれるほど晩成型の子どもでした。そんな私に、母は繰り返し言ってくれました。
「あんたは早生まれだから、できなくてもしょうがないんだよ」
だから私は、できないことをあまり気にしませんでした。常に根拠のない自信にあふれ、様々なことに挑戦することができました。だから、今の私の軸を作ってくれた母には、本当に感謝しています。得意なこと、好きなことを自覚している子は強いのです。その強さが発揮されるのは、大学、そして就職です。この話は次回にじっくりお話ししましょう。