上位校に入れなくちゃ!……は愚かな選択

 なぜ志望校を早めに決めてはいけないのでしょうか。日経DUALの読者であれば、「公立の上位校へ」という思いもあるでしょう。

 公立トップの〇〇高校……という名前は、確かに魅力的です。だからこそ、受験産業は子どもの志望校名をエサにして、生徒の獲得を狙います。「〇〇高校、〇人合格!」は客寄せ効果絶大です。

 そのためか、東京都であれば都立上位校の人気は年々加速しています。倍率が2倍を超える学校も多く、絶対確実と思われた子でも不合格になる可能性があります。万が一落ちたとき、すっかり自信を失い、入学した学校に夢を持てなくなるようであれば、その先がとても心配です。

 合格したとしても、42.195キロを走りぬいたランナーのように、ゴールでばったり倒れたのでは意味がありません。高校は勉強するために入学するのです。ついていけない学校に入っても仕方ありません。あえて断言します。高校はどこでもいいのです

 志望校を決めるのは、内申点が確定してからで十分です。その時点で、実力の伸びを考慮しながら、冷静に学校を選びましょう。

 学校も塾同様「利用するところ」です。求めるべきはわが子の能力の向上であり、社会的な見えではありません。通学時間が短い学校を選択することも、子どもの生活時間、学習時間を確保するためには重要な要素だということを忘れないでください。

 それには、通いやすい範囲にある学校の中からいくつか候補校を挙げておき、過去問にもうっすら目を通しておきたいものです。そしてもちろん、親が内部事情なども調べておく必要はありますね。

 さて、高校に入学したら、次にくるのは大学入試です。「まだ早いわ」と思うかもしれませんが、2020年の大学入試改革についての知識を得ておく必要はあるでしょう。それについては次回、お話しします!

(取材・文・構成/神 素子、松永さん・イメージカット撮影/花井智子、イメージカット/iStock)